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 地方分権で公共事業はどうなるのか。自治体の首長を代表して、神奈川県開成町の露木順一町長に聞いた。露木町長は、政府の地方分権改革推進委員会(委員長:丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)の委員も務めている。 (聞き手は日経コンストラクション記者、瀬川 滋)


――地方分権改革推進委員会は2008年12月、国土交通省の地方整備局を廃止して、直轄国道や一級河川を職員とともに都道府県や政令市に移すという内容の勧告をまとめました。しかし、移管に伴って国から自治体への税源移譲をどうするのか、いまだに決まっていません。

 分権委はこれまで、直轄の公共事業のうち何を自治体に移管して、何を直轄のまま残すのかについて、大枠だけを決めました。具体的にどの国道や河川を移管するのかは、国交省と自治体が個別に協議することになっています。

 分権委は2009年5月ごろに、次の勧告をまとめます。国と自治体に財源をどう配分するのか、消費税の増税をどう扱うのかなどについて示す予定です。自治体の不安感を払拭(ふっしょく)する勧告にしなければなりません。

――もろ手を挙げて勧告を受け入れられる自治体は決して多くありません。例えば、北海道が直轄国道の移管について道内の市町村を対象にアンケート調査した結果、「賛成」はわずか2割でした。財源や維持管理体制に懸念があるという回答も多かったようです。

 地方分権改革は手段にすぎません。自治体が与えられた権限を使って、国のカネを奪い取ってでも、やりたいことを実現するのが目的。カネが来るかどうかわからないから、静観しておこうというのは論外だと思います。

 日本が右肩上がりに成長しているときは、国交省に従って公共事業を進める方が楽でした。自治体の職員も、国交省の指示通りに動くことが体に染み付いています。

 しかし、税収が落ち込み、限られた公共事業しか実施できなくなった。自治体は事業の優先順位を自ら決めたうえで、権限と財源を寄こせと国に言わなければならない。地域のニーズを把握してビジョンを描ける自治体と、お上頼りの自治体との間で淘汰があっても仕方がありません。

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