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 東南海・南海地震が発生すると、大阪港咲洲(さきしま)トンネルの沈埋函接続部が損傷することが判明した。耐震補強のため、沈埋函同士を鋼板で連結して目開きを抑える。沈埋函は温度伸縮を繰り返す。計測データをもとに架設時の変位を予測し、アンカーボルトの穴の位置を決めた。

耐震補強のために沈埋トンネルの隔壁に取り付けた鋼板。躯体に固定するためのアンカーボルトは規則正しく並んでいるように見えるが、躯体内部の鉄筋を避けるように位置を決めている。鋼板は隣り合う沈埋函同士を連結しており、写真左奥のアンカーボルトがない部分がその接続部分に当たる。写真は11号継ぎ手(写真:大村 拓也)
耐震補強のために沈埋トンネルの隔壁に取り付けた鋼板。躯体に固定するためのアンカーボルトは規則正しく並んでいるように見えるが、躯体内部の鉄筋を避けるように位置を決めている。鋼板は隣り合う沈埋函同士を連結しており、写真左奥のアンカーボルトがない部分がその接続部分に当たる。写真は11号継ぎ手(写真:大村 拓也)

 大阪市の大阪港咲洲トンネルで、沈埋工法で施工した部分の耐震補強工事が進んでいる。地震時の地盤変動などによって、沈埋函の継ぎ手部の目開きが大きくなると想定される部分を鋼板で連結し、止水性能に影響が出ないようにするのが目的だ。

 工事はまず、車道部分から沈埋函の隔壁や天井を削孔する。継ぎ手部を介して隣り合う二つの沈埋函に鋼板を渡し、両端をアンカーボルトで定着する。鋼板の中間部分は定着せず、継ぎ手部は従来通り伸縮できるようにした。

 2008年度の工事は、2006年度の工事に続いて2回目。総合評価落札方式の一般競争入札で、前回と同じく五洋建設が受注した。

 同社は入札時に、架設する鋼板に「一枚もの」を採用することを技術提案した。「前回は、トンネル方向に2枚の鋼板を現場溶接でつなぎ合わせた。しかし、トンネル内は風が強く現場溶接に適さないうえ、溶接時の熱で鋼板がゆがむ可能性があった。現場溶接をなくすことで、鋼板の品質を向上し、補強個所の耐久性を高めることができる」。五洋建設咲洲トンネル工事事務所の桑原直樹所長は、提案理由をこう説明する。

 ただし、施工管理の難易度は高くなった。年間を通して、沈埋函は温度伸縮を繰り返すからだ。「温度収縮を考慮して、沈埋函が最も縮み、継ぎ手部の目開きの量が最大となる2月から3月にかけて鋼板を設置するように、工程を逆算した」と、国土交通省近畿地方整備局大阪港湾・空港整備事務所保全課の北澤健二技術審査係長は話す。

 問題は、削孔完了後に着手する鋼板の製作中に発生する。鋼板の製作は、削孔が完了する12月初めに着手。その後、鋼板を架設する翌年2月までの間に、長さ約100mの沈埋函は10mm程度収縮するのだ。

[現場概要]
●名称=大阪港咲洲トンネル改良工事●施工場所=大阪市港区海岸通り中央突堤●発注者=国土交通省近畿地方整備局●設計者=オリエンタルコンサルタンツ(管理技術者:城戸哲哉)●施工者=五洋建設 (現場代理人:桑原直樹、元請けの技術者数:4人)●主な専門工事会社=杉山建設工業、ケー・エフ・シー、デンカノリテック(以上、鋼板架設)●工期=2008年7月~2009年3月●工費=2億3100万円●入札方式=総合評価落札方式による一般競争入札●予定価格=2億5975万9500円