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 広島高速道路公社が建設した高架橋の検査データに改ざんなどの疑いがあり、同公社が調べたところ鋼材の溶接部の検査に問題があることがわかった。検査データの重複など不審な点があったうえ、検査した際に有資格者が立ち会った記録がない日があることも判明。この問題を受けて再検査すると、基準を超える損傷が合計212カ所で見つかった。同公社が4月23日に発表した。

 広島県が3月23日に受信した匿名の電子メールがきっかけで発覚した。この電子メールは、「山陽本線と交差する広島高速2号線の高架橋の工事で、関西エックス線が行った溶接検査に不適切なものがある」とし、検査データの改ざんや超音波自動探傷検査を無資格者が行っていることなどを指摘していた。

 指摘を受けた高架橋は、広島高速道路公社が広島高速2号線の一部として造った長さ209mの鋼3径間連続鋼床版箱桁橋。JR山陽本線の上空に架かるので、西日本旅客鉄道(JR西日本)に委託して建設した。受託したJR西日本から広成建設(広島市)が受注。溶接検査は広成建設の下請け会社として関西エックス線(広島市)が担当した。

 広島高速道路公社は、指摘を受けた溶接検査の調査をJR西日本に依頼。JR西日本が、広成建設と関西エックス線に対して調査した。

 この結果、2009年8月に実施した超音波探傷検査のうち、検査に必要な非破壊検査の資格を持つ者が8月10日の検査に立ち会った記録がないことが判明。さらに、17測線の検査データが重複していることもわかった。

 これを受けてJR西日本は、同高架橋の溶接部を別の検査会社に依頼して再検査。併せて、山陽新幹線と交差する長さ174mの鋼5径間連続鋼床版箱桁橋の溶接部も再検査した。この高架橋も広島高速道路公社から受託したもので、先の高架橋と同じく広成建設が施工を、探傷検査を関西エックス線がそれぞれ担当した。

 再検査した結果、二つの高架橋から合計10カ所、基準を超える損傷が見つかった。

●広島高速2号線と同3号線で見つかった検査データの不具合と再検査で見つかった損傷
(資料:広島高速道路公社への取材を基に日経コンストラクションが作成)
(資料:広島高速道路公社への取材を基に日経コンストラクションが作成)

 さらに、関西エックス線が溶接部の探傷検査を担当した橋では、広島高速3号線の三つの高架橋でも溶接部に基準を超える傷が見つかった。許容される傷は接合する鋼材の厚さの3分の1以下。この基準を超える傷が、高速3号線の3橋では合計202カ所見つかった。

 広島高速3号線の3橋の建設にJV(共同企業体)の幹事会社として携わった三菱重工鉄構エンジニアリングによれば、これらの3橋でも検査データの重複などが見つかったという。

 広島高速道路公社によれば、見つかった傷は最大で長さが207mm。これらの傷は2010年4月26日の朝までに、再び溶接するなどして応急補修した。長期的には強度に影響が及ぶ恐れもあるため、同公社では必要な措置について検討している。検査データに重複が生じたことなどの原因も究明するという。