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 広島市を走る国道2号と西広島バイパスの騒音や排気ガスなどで被害を受けたとして、沿道の住民など76人と2法人が国と広島市を提訴。約1億7000万円の損害賠償と道路の通行や工事の差し止めなどを求めていた裁判で、広島地方裁判所は5月20日、一部の住民の騒音による被害を認めて合計約2160万円を支払うよう国と広島市に命じた。

 判決を受けて広島市の高井巌道路交通局長は5月20日、「国と協議のうえ、対応を決定したい」とコメントを発表。5月26日時点で、国は控訴するかどうか検討しており、住民側は控訴する方向で考えている。弁護団の団長を務める山田延広弁護士によれば、「誰がどのような形で控訴するか検討している段階」だという。

 広島地裁が騒音による被害を認めたのは、沿道の住民36人に対して。昼間の屋外で、65dB以上の騒音にさらされているとした。環境基本法では、幹線道路に近接する空間の屋外で昼間は70dB以下を維持すべきと定めているが、基準を下回る65dBであっても賠償責任があるとして、騒音の被害を基準よりも厳しく認定した。

 さらに、夜間に受ける騒音の被害については、屋内で45dB以上の騒音を受けている住民に対し、睡眠の妨害になるとして賠償額を上積みした。

 1995年の国道43号の公害などをめぐる判決で、最高裁判所が騒音の受忍限度の基準を65dB以上としたことを住民側は重視。1日当たり平均65dB以上の騒音にさらされており、健康に被害を受けていると主張していた。

 一方、国と広島市は環境基本法の基準をわずかに超える騒音があったとしても、道路の利便性を享受していることを考慮すれば、受忍限度の範囲内などと反論していた。

 広島地裁は、国道2号の通行や西広島バイパスの延伸工事の差し止めを求める訴えは退けた。二つの道路は、幹線道路や産業道路として生活に密着した道路と認定。代替する道路がない状況にあり、通行などを差し止めた場合には影響が大きいと指摘した。