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篠山氏「ピュアな気持ちで撮影」

オープニングプレビューで東日本大震災の被災地の写真を撮ったいきさつと当時の気持ちを熱く語る写真家の篠山紀信氏(写真:日経コンストラクション)
オープニングプレビューで東日本大震災の被災地の写真を撮ったいきさつと当時の気持ちを熱く語る写真家の篠山紀信氏(写真:日経コンストラクション)

 オープニングプレビューでは、東日本大震災の被災地の写真を撮る経緯や当時の気持ちを篠山氏が吐露した。

 「写真は時代を映す鏡だ。その時代のなかで起こった突出した出来事や人、ものを一番良い角度から、一番良いタイミングで撮るのが写真家だと普段から言っている。この出来事を僕は知らない、なかったことにしようというわけにはいかなかった」(篠山氏)。

 ただ、いざ東北行きが決まり、被災地に降り立ってみると、「何を撮っていいのか分からなかった」という。

 被災地入りしたのは震災から50日後で、道路上のがれきは撤去されていたものの、その周りのがれきはそのままといった時期だ。篠山氏は「とにかく地球の重力がなくなったのではないかという感じ。船が陸の上にあり、自動車は木にぶら下がり、家はねじれている。かつて見たことのないような光景だった。あっけに取られた」と話す。

 それでも、撮影を重ねていくうちに、一つの境地を見いだすことになる。自然の破壊する力を畏怖し、その自然が壊したことで造られた新しい創造物に対する畏敬の気持ちが篠山氏のなかに芽生えてきたのだ。

 「そういう気持ちを持って現実に対処すると、自分の気持ちがピュアになって、展示した写真のような風景に実際に見えてきた」と篠山氏は振り返った。悲惨さを強調するような写真ではなく、極めて客観的に記録された写真の数々は、「自分のピュアな気持ちが写ったんだと思う」とも。

 「写真を見てまた同じ場所に行っても、ほとんどが片付けられていて、それこそ跡形もない。この写真展は僕が見た『跡形』だ。跡形をこういう風に写真として記録できたのは、僕にとっては良いことをしたと思っている」(篠山氏)。

多くの来場者が篠山氏の言葉に耳を傾けた(写真:日経コンストラクション)
多くの来場者が篠山氏の言葉に耳を傾けた(写真:日経コンストラクション)

■「KISHIN SHINOYAMA PHOTO EXHIBITION “ATOKATA”」概要
日時:2011年11月22日(火)~12月15日(木) 10:00~19:00
会場:Audi Forum Tokyo(東京都渋谷区神宮前6-12-18ジ・アイスバーグ)
特別協賛:アウディ ジャパン
協力:PLAZA CREATE、PHOTO NET
制作:SUNプロデュース
企画:STEP
入場料:無料

■写真展に関するお問い合わせ
STEP 電話03-5774-4551

ATOKATA(あとかた)

篠山紀信写真集
ATOKATA(あとかた)

2011年11月21日発行
292mm×362mm、136ページ
定価 6090円(税込み)
発行 日経BP社
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