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 仮設桟橋を使わずに、木曽川を横断するPC(プレストレスト・コンクリート)箱桁を架設する。従来型の架設機に型枠装置を1基追加し、桁の張り出し架設と柱頭部の構築を3カ所同時施工。仮設桟橋を使う場合に比べて工期を約45%短縮した。

3基の型枠装置を利用して、橋脚柱頭部と桁の張り出しを同時に施工する。この工事のために、型枠装置を新たに1基製作した。架設桁に吊られているのは、歩道用のプレキャスト製ブラケット(写真:大村 拓也)
3基の型枠装置を利用して、橋脚柱頭部と桁の張り出しを同時に施工する。この工事のために、型枠装置を新たに1基製作した。架設桁に吊られているのは、歩道用のプレキャスト製ブラケット(写真:大村 拓也)

 「架設機そのものが、橋を造る一つの工場のようなイメージだ」。各務原(かかみがはら)大橋の上部工事を担当する清水建設・前田建設工業JV(共同企業体)の高島英一所長は、P&Z工法による張り出し架設現場の様子をこう表現する。

 岐阜県各務原市内の木曽川に建設中の各務原大橋は、橋長594mのPC10径間連続フィンバック橋。工事を発注する市は、8径間分に相当する桁の架設にP&Z工法を採用した。旧西ドイツのポレンスキー・ツェルナー社が開発した大型移動式架設機を用いたPC橋の架設工法だ。日本では、1981年に初採用して以降、この橋を含む9件の施工実績がある。

 鉄筋やプレキャスト製部材、コンクリートなどの資材は、川岸から架設済みの桁を介して、架設機の後方から型枠装置へ送り込んでいる。型枠装置では、1ブロック当たり最大10mずつ張り出し架設が可能だ。1径間分の張り出し架設が完了すると、型枠装置を含め架設機を未架設の径間へ前進させる。

 一方、移動作業車を使って橋脚ごとに張り出し架設をする場合は資材運搬用の仮設桟橋を設ける必要がある。ただし、木曽川では、出水期に当たる毎年6月~9月の4カ月間は、河川内に仮設物を設けることができず、施工できない。P&Z工法ならば通年で施工できる。

 P&Z工法は、橋の片側から架設していく。この工事では、工期短縮のために架設機を改造し、従来2基使用していた型枠装置をさらに1基増やした。それに合わせ、架設桁の長さを2径間分以上に相当する長さ133mとした。

 「前方の型枠装置で橋脚柱頭部の桁を構築している間に、後方にある2基の型枠装置で一つ手前の橋脚から張り出し架設する。二つの作業時間はほとんど同じで、橋脚1基につき約1.5カ月の工程を短縮できる」と、高島所長は話す。従来は2基の型枠装置のうち、前方の型枠装置が柱頭部と桁を交互に施工していた。改造による同時施工で、工期を約10.5カ月短縮できた。

[現場概要]
●名称=(仮称)各務原大橋上部工工事
●施工場所=岐阜県各務原市上中屋町~川島小網町
●発注者=各務原市
●基本設計者=大日本コンサルタント(管理技術者:松井幹雄)
●詳細設計者=日本構造橋梁研究所(管理技術者:前田晴人)
●施工者=清水建設・前田建設工業JV(現場代理人:高島英一、元請けの技術者数:7人)
●主な専門工事会社=親和建設、さいとうPC建設(以上、架設)、昭和コンクリート工業(プレキャスト部材製作)、エスシーマシーナリ、三信工業(以上、架設機械)、中央建設(ポンプ圧送)
●工期=2010年7月~13年3月
●工費=22億6275万円(追加工事を含む)
●入札方式=一般競争入札
●予定価格=37億1481万円


<訂正>初出時に各務原の読み仮名が「かがみはら」になっていましたが、正式名の「かかみがはら」に訂正しました。(2011年11月29日14時20分)