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 国土交通省四国地方整備局と愛媛大学、東亜建設工業、不動テトラ、オリエンタル白石、ダイヤコンサルタントは共同で、地盤に空気を注入して液状化抵抗を増大させる「エアデス工法」を開発した。愛媛大学の岡村未対教授によると、液状化対策で地盤内に空気を注入するのは世界初の工法となる。

■空気を注入する液状化対策の「エアデス工法」のイメージ
(資料:岡村未対・愛媛大学大学院理工学研究科教授)
(資料:岡村未対・愛媛大学大学院理工学研究科教授)

 エアデス工法は飽和した地盤に気泡を満遍なく含ませ、間隙の5~10%を気泡に置き換えるものだ。気泡は地震時の過剰間隙水圧を下げるクッションの役目を果たすので、液状化抵抗が増加する。

 地震によるせん断変形を受けても、間隙の体積が減少するだけで、土粒子がお互いに接触を保ってかみ合った状態を維持する。そのため、土の強度や剛性は失われない。

 ただ、エアデス工法は、液状化が生じる可能性のあるすべての地盤に適用できるわけではない。有効上載圧が小さい地点や塑性のある土には適用できない。

■エアデス工法の原理
(資料:岡村未対・愛媛大学大学院理工学研究科教授)
(資料:岡村未対・愛媛大学大学院理工学研究科教授)

 従来、液状化対策には、地盤を締め固めるサンドコンパクションパイル工法や水圧を消散させるドレーン工法、セメントや薬材などで地盤を固結させる表層・深層混合処理工法や薬液注入工法などがあった。

 エアデス工法は注入材が空気なので、ほかの工法と比べて環境負荷が小さい。さらに大掛かりな施工設備は必要ないので、既存の液状化対策と比べて施工コストは5分の1~10分の1に抑えられる。防潮堤や盛り土などの既存構造物の直下への適用が可能だ。

 地盤内への気泡注入状況は、地盤の電気抵抗の分布から確認する。飽和度が低下すれば比抵抗が増大する特性を利用した。気泡が到達した領域をモニタリングしながら施工する。

 いったん不飽和化した地盤は、簡単に再飽和せず、長期間にわたって気泡が間隙に残存することが研究で明らかになっている。どの程度の期間、残存するかを特定するのが今後の研究課題だ。

左に見えるのは空気を供給するコンプレッサー。圧力計や流量計によって計測し、減圧弁で制御しながら空気を注入する。大掛かりな資機材は不要で、狭い場所でも施工が可能だ(写真:東亜建設工業)
左に見えるのは空気を供給するコンプレッサー。圧力計や流量計によって計測し、減圧弁で制御しながら空気を注入する。大掛かりな資機材は不要で、狭い場所でも施工が可能だ(写真:東亜建設工業)

震度6強で加震させる遠心模型実験を実施した。数十センチ規模の模型で、高さ2m、幅10mの盛り土の液状化対策効果を検証できる。左は無対策の地盤で、右はエアデス工法で空気を注入した地盤(写真:岡村未対・愛媛大学大学院理工学研究科教授)
震度6強で加震させる遠心模型実験を実施した。数十センチ規模の模型で、高さ2m、幅10mの盛り土の液状化対策効果を検証できる。左は無対策の地盤で、右はエアデス工法で空気を注入した地盤(写真:岡村未対・愛媛大学大学院理工学研究科教授)

<訂正>初出時に、一番下の写真について、高さ2m、幅10mの盛り土を造って実験したと説明していましたが、実際は模型実験の誤りでした。そのため、写真の説明を上記のように訂正します。(2012年5月18日10時30分)