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「もう一度現場に行こう」

 発破の撮影後、次の予定もあり、現場を後にするしかなかった篠山氏。帰り際に、「悔しい」を連発していた。

 撮り逃したのを、よほど忘れられなかったのだろう。5月上旬、出来上がった写真を見に篠山氏の事務所を訪れた際に、発せられた言葉が「もう一度現場に行こう」だった。篠山氏の熱い思いに編集部も根負けして、現場紀信では珍しく、2度目の現場撮影の敢行が決定した。

 発注者や施工者に再調整してもらい、2度目に現場を訪れたのは6月1日。前回の撮影の経験を踏まえて、篠山氏は1秒間に7コマの連写で、発破の瞬間を撮ることに決めた。準備が終わり、篠山氏が切り羽をにらんで、ずっと仁王立ちしていたのが印象深い。

仁王立ちして切り羽を見つめる篠山氏。撮影に込める思いが伝わってきた(写真:日経コンストラクション)
仁王立ちして切り羽を見つめる篠山氏。撮影に込める思いが伝わってきた(写真:日経コンストラクション)

 2度目のチャレンジでは、発破の瞬間を捉えることができたものの、露出がアンダーになっており、暗さでほとんど写っていなかった。

 「発破といえば、花火みたいな閃光が走って、石が砕け散って、その後に煙がもうもうと上がるイメージがあった」と篠山氏は明かす。しかし、カメラの液晶モニターから見る現実は、どうもそれほど光を発していないようだった。

 3度目は、露出を変えて再度チャレンジする。発破で切り羽から落ちてくる岩の破片が、切り羽前面のランプに照らされてしっかりと写っていた。

 「素人の先入観や思い込みから考えていた絵は全然撮れていなくて、むしろ発破で落ちてくる岩の破片などが写っていた。現実の発破とはクールなもの」。閃光もほんの一瞬だった。

 篠山氏は後日、感想をこう述べた。「素人がイメージする先入観は現場では捨て去って、虚心坦懐に現実と向き合うべきだなということがよく分かった。勉強になりました」。

 発破の写真は、6月25日号の日経コンストラクションの「現場紀信」に掲載している。

退避場所で発破の瞬間を待つ篠山氏(写真:日経コンストラクション)
退避場所で発破の瞬間を待つ篠山氏(写真:日経コンストラクション)

カウントダウンから発破までの動画。奥にいるのが篠山氏(動画:日経コンストラクション)

  • 所在地:相模原市緑区葉山島~小倉
  • 発注者:国土交通省関東地方整備局
  • 施工者:大成建設
  • 竣工時期:2012年12月末
  • 施工延長:上り線約2.1km、下り線約2.1km
  • 内空断面積:約67m2