PR

 日経コンストラクション2012年7月9日号で、一般論文の構成と添削例を紹介した。本誌で掲載した添削コメントを反映させた模範論文の例をここに掲載する。

想定問題

 電力供給が不安定であることや地球温暖化防止のためのCO2削減が求められるなか、省エネ社会の構築のあり方を述べよ。


回答例(1/3)

1.背景

 東日本大震災により、福島原発事故が発生し、電力供給量の限界を知ることとなった。今後も電力供給が不安定なことから、エネルギー消費の削減が求められる。また、かねて地球温暖化が叫ばれ、CO2排出量削減につながる省エネ対策が求められてきた。2012年度は京都議定書の第一約束期間の最終年でもあり、一層の省エネが求められている。

 年間12兆円ともいわれる経済損失を伴う交通渋滞も大量のエネルギーを消費するので、その抑制は重要なテーマである。

2.現状

 都市部では渋滞が慢性化しており、エネルギー消費増だけではなく、環境負荷の増大も懸念されている。モーダルシフトを推進して自動車の数を減らすべきであるが、自転車道、歩道などの整備が追い付いていないので進まない。

 また、ヒートアイランド現象が深刻化しており、都市部の気温上昇は、さらに冷房を使用するという悪循環を生んでいる。

 地方部では、市街地のスプロール化が進み、中心市街地は空洞化している。これは社会資本整備において、効率が悪く無駄なエネルギー消費を生んでいる。

回答例(2/3)

3.課題

 高度成長期からのエネルギー大量消費は国民の暮らしを豊かにした。化石燃料を使うことでモータリゼーションを発展させた。しかし、国民はこの時点で、省エネを行うことで不便な生活を強いられるのは耐えられず、結果的に省エネが進まない。従って、今の生活レベルを下げることなく、いかに省エネを進めるかが課題である。

4.解決策

  • (1)都市部のヒートアイランド対策
    •  ビルや住宅の断熱・遮熱性能の向上、建物緑化によって温度上昇を防ぐ必要がある。これにより空調のエネルギー消費を削減する。また、設備の省エネ化・夜間電力の利用なども必須である。都市開発が激しい都心などではエネルギーの面的利用も重要な対策となる。
    •  公園や道路の緑化を進めて、さらに浸透性舗装などにより保水能力を向上させてヒートアイランド対策を施すことで、気温上昇を抑える対策も有効である。

回答例(3/3)

  • (2)地方都市のコンパクトシティー化
    •  地方都市はコンパクトシティー化を進めて、エネルギー効率を上げる。中心市街地は「歩いて暮らせるまちづくり」を行い、モーダルシフトを進める。歩道や自転車道の整備、LRTの導入などで、まち全体で省エネを行う。郊外から市街地への流入地点でパークアンドライドを進めて自動車の削減に取り組む。
    •  コンパクトシティー化は集合住宅化を促進し、住宅の省エネ効率も上がる。今後の高齢化社会に対しても好都合である。
  • (3)渋滞解消対策
    •  選択と集中により、交差点改良、立体交差化、ボトルネック解消、環状線の整備といった最低限のハード対策を実施する。
    •  ソフト対策としてモーダルシフトを推進する。これに伴い交通結節点の整備、自転車道整備、歩道整備を実施する。
    •  震災時の高速道路の重要性から、ミッシングリンクの解消が進めば、道路ネットワークが完成する。そうなれば、ロードプライシングによって交通流を誘導できるようになり、渋滞解消のソフト対策が可能となる。従って、渋滞解消のためのハード整備を少なくでき、整備費用を低減できる。

以上

技術士一直線2012増補版目次

「技術士一直線2012増補版」は、日経コンストラクションに収録できなかった内容を中心に、日経コンストラクション購読者とケンプラッツプレミアム会員限定でケンプラッツ上に掲載します。ケンプラッツプレミアム会員の方は、日経コンストラクション掲載記事をpdfファイルでご覧ください。