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 国土交通省の「首都高速の再生に関する有識者会議」(座長:政治評論家の三宅久之氏)は9月19日、都心環状線の高架橋を撤去し、大深度地下の利用を含めた首都高速道路の再構築を目指す必要があるとの提言をまとめた。これまでの会合で示されていた、高架橋を撤去して代替路線は造らない「単純撤去案」や、現状のまま更新する「単純更新案」は採用しなかった。

撤去・再構築案、単純撤去案、単純更新案を比較し、撤去・再構築案を採用した(資料:国土交通省)
撤去・再構築案、単純撤去案、単純更新案を比較し、撤去・再構築案を採用した(資料:国土交通省)

 提言では首都高再生について、老朽化の進展への対応、安全な高速走行の確保、景観や騒音など都市環境の改善、首都直下型地震対策の四つの観点から必要性を強調。再生の前提条件として、東京外かく環状道路などの早期整備や都心部への自動車の流入を調整する料金施策などを要するとした。

 また、首都高再生を国家プロジェクトと位置付けて推進することを求め、首都高が土地を保有する築地川区間をモデルケースに、具体化に向けて直ちに検討を開始すべきだとした。提言では具体的な時期を示さなかったものの、東京都が五輪の招致を目指す2020年が節目になるとの見解を示した。

 約3.8兆円との試算もある事業費については、厳しい財政状況を踏まえて料金収入を中心として賄う方針を示したほか、都市再生プロジェクトとの連携を図り、民間資金の活用を検討することが重要だと提言するにとどまった。

 提言書を受け取った羽田雄一郎国交相は「国土交通省としてしっかりと取り組むことを誓う」と述べた。提言を受けて、国交省は東京都や首都高と具体的な検討を始めたい考えだ。一方、首都高では大規模更新の在り方を独自に検討しており、年内にも最終報告をまとめる予定。今回の提言が首都高の更新にどのような影響を与えるか、注目が集まる。

有識者会議の委員と、羽田雄一郎国交相(写真前列左)。作家の猪瀬直樹委員、ファッションデザイナーのコシノジュンコ委員は欠席した(写真:日経コンストラクション)
有識者会議の委員と、羽田雄一郎国交相(写真前列左)。作家の猪瀬直樹委員、ファッションデザイナーのコシノジュンコ委員は欠席した(写真:日経コンストラクション)

会見する三宅久之座長(中央)。右は副座長を務めた筑波大学大学院の石田東生教授、左は政治ジャーナリストの細川珠生委員(写真:日経コンストラクション)
会見する三宅久之座長(中央)。右は副座長を務めた筑波大学大学院の石田東生教授、左は政治ジャーナリストの細川珠生委員(写真:日経コンストラクション)

首都高速の再生に関する有識者会議の提言書。右側が表紙、左側が裏表紙。コシノジュンコ委員の意見を踏まえてデザインした(資料:国土交通省)
首都高速の再生に関する有識者会議の提言書。右側が表紙、左側が裏表紙。コシノジュンコ委員の意見を踏まえてデザインした(資料:国土交通省)