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 東急建設は九州大学と共同で、構造物の出来形を迅速に確認できるシステム「RaVi」を開発し、トンネル新設工事の出来形管理に導入した。巻き尺や水準器を用いる従来の手法よりも作業効率が大幅に向上した。ほかの三次元形状計測システムに比べて機動性が優れ、足場の悪い現場にも対応しやすいという。

 開発したシステムは自動追尾機能が付いたトータルステーションと、台車に載せた赤外線レーザー距離計、台車の傾斜を感知するセンサー、データを解析・表示するパソコンなどで構成している。

尾道・松江自動車道の下本谷トンネル(広島県庄原市)新設工事で使用中の「RaVi」。既設トンネルの計測にも使用実績があるという(写真:東急建設)
尾道・松江自動車道の下本谷トンネル(広島県庄原市)新設工事で使用中の「RaVi」。既設トンネルの計測にも使用実績があるという(写真:東急建設)

 トンネル内で使用する場合は、距離計を上に向けて、トンネル断面の二次元データを取得する。補助エンジンを付けた台車を時速2kmで自走させて断面データを連続的に計測し、トータルステーションで得られた台車の位置情報と組み合わせて、トンネル形状の三次元データとする。あらかじめパソコンに取り込んだ設計データと比較して、施工精度を現場で確認できる。

RaViによるトンネルの形状計測のイメージ。直線区間主体でトータルステーションが使いやすいトンネルに向いている(資料:東急建設)
RaViによるトンネルの形状計測のイメージ。直線区間主体でトータルステーションが使いやすいトンネルに向いている(資料:東急建設)

 東急建設は、国土交通省から受注して2011~12年度に施工した長さ約400mの下本谷トンネル(広島県庄原市)でRaViを使用した。計測自体は1回当たり約15分で終わり、その前後のトータルステーションの据え付け作業などを含めても作業員2人で1時間以内で済んだ。従来の手法で計測した場合、同じ人数で3~6時間程度かかる見込みだった。

 三次元形状計測システムには自動車に積んで使用するタイプもある。RaViの装置は台車を含めて全長1.65m、高さ1.2m、幅1.4m。重さは約80kgで、狭かったり足場が悪かったりして自動車が入れない現場でも使える。台車を通しにくい暗きょ内作業も想定して、人が背負うタイプの開発も進めている。

RaViの1号機と開発を担当した東急建設の土木技術部や技術研究所のメンバー。現在稼働しているのはこの1号機だけで、製造コストはまだ確定していない。人が背負うタイプは試作機があるものの20kgとやや重く、軽量化が今後の課題だという(写真:日経コンストラクション)
RaViの1号機と開発を担当した東急建設の土木技術部や技術研究所のメンバー。現在稼働しているのはこの1号機だけで、製造コストはまだ確定していない。人が背負うタイプは試作機があるものの20kgとやや重く、軽量化が今後の課題だという(写真:日経コンストラクション)