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東日本大震災で壊滅的被害を受け、人口の1割近くの犠牲者が出た岩手県陸前高田市。陣頭指揮を執る戸羽太市長は、復興を思うように進められない現実に直面する。復興交付金の使い方や既存の諸制度の厳格な運用が続いているからだという。一方、ほかの自治体からの応援や民間企業からの支援はまちの再生を促している。同市の将来像と自治体間連携の可能性も聞いた。

──復興予算の使い方などについて議論が巻き起こっていますが、被災地における復興の実情はどのような状況なのでしょうか。

岩手県陸前高田市長 戸羽 太氏(写真:淡路 敏明)
岩手県陸前高田市長 戸羽 太氏(写真:淡路 敏明)

 自治体や企業の支援をいただけている部分はあるものの、はかばかしくないのが実態です。ルールや手続きが、従来のままで進められている部分が影響しています。

 例えば、木を一本切るのにも森林法や補助金が入っているといった理由で、「待った」がかかる。「6カ月くらい待って」と言われたりすることもあるのです。一体何を言っているのか。被災者側の立場で考えてほしいのです。目指す復興の目標はまだ遠い地点にあります。国の力でその道のりにあるハードルを取り除いてほしいのに、国はむしろ、既存のハードルの間に新しいハードルを置いているような感じです。

 復興交付金の使い勝手はその一つです。復興交付金は自治体の裁量を発揮できる使いやすいものとなることを期待していましたが、実態は違いました。5省の40事業を基幹事業に据えていますが、示された事業の間に隙間があって、使えないことがあるのです。

 使い方などを復興庁に相談してみると、「そこで知恵を絞るのが自治体だ」といった回答が返ってくる。でも知恵って何なのでしょう。交付金が使えるように、どうごまかすかが知恵だと言わんばかりなのですが、そんなばかな話があるでしょうか。

 例えば、こんな例があります。災害公営住宅を高台に建設したいと考えました。高齢者が多いので最低限の買い物の利便性などを考慮して1階をコンビニエンスストアにしようとすると、それは復興交付金の事業として認められないと言われてしまう。代わりにUR(都市再生機構)に建設してもらって購入するのであれば構わないというのです。

 今は改善されていますが、当初は、津波で被災した学校を災害復旧工事で建て直そうとすると、同じ場所で造るよう指導されたこともありました。屋上まで津波をかぶって使えなくなったのに。そんなレベルから話をしなければならなかった。