PR

 国道289号甲子トンネル(福島県下郷町、西郷村)の路面の一部が隆起している問題で、福島県は1月29日、対策のため技術検討委員会を開催した。委員会は路面下の鉱物が地下水で膨張したのが原因で隆起が生じている状況を報告した。隆起は約2年前に発覚して以来、継続している。県は破損したインバートの補修と増築などで対応する方針だ。

甲子トンネルの路面が隆起した箇所の一例(写真:福島県)
甲子トンネルの路面が隆起した箇所の一例(写真:福島県)

 甲子トンネルは国土交通省の発注で2007年2月に完成し、08年9月の供用開始後は福島県が管理している。延長は4345mと県内で最も長く、下郷町側の工区を戸田建設・フジタJVが、西郷村側の工区を清水建設・飛島建設JVがそれぞれ施工した。地山の地質は安山岩溶岩、自破砕状流紋岩、凝灰岩だ。

 11年3月4日、国交省東北地方整備局郡山国道事務所が、下郷町側の工区だった路面の一部に隆起した箇所を発見して県に連絡した。隆起は下郷側の坑口から約1700~2100mの範囲に広がり、高さは最大で約25cmに達する。路肩との間に段差ができているが、車道の舗装面には今のところ緩やかな傾斜が生じているだけで車の走行に大きな支障はない。そのため、県は通行止めなどの規制は掛けず、トンネル内の車に減速を求めている。

 県は原因の究明と対策工法の検討のため、京谷孝史・東北大学大学院教授を委員長とする甲子トンネル技術検討委員会を設置し、12年7月に第1回の会合を開いた。委員会はトンネルの路面から地下5m程度までの岩盤の中に分布する膨張性鉱物(スメクタイト)が隆起を生じさせているとの見解を示し、3回目となる1月29日の会合では隆起の計測結果などを報告した。県県南建設事務所などによると、スメクタイトの存在自体はトンネル建設時に判明していたものの、これほどの膨張は想定していなかった。「想定を超える自然現象のため、健全な構造体に不具合が生じたという認識だ。現時点で、建設時の施工者などの責任を追及する考えはない」(同事務所)。

 対策として実施するインバートの工事について、委員会は3月に開く第4回会合で工法を具体的に検討する予定だ。