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撤去工事は既に始まっていた

 その一方で、江ケ崎跨線橋の撤去工事は既に始まっていた。解体された部材を生かすには、まずは受け入れ先を探さなければならない。市橋梁課の鈴木淳司氏は、次のように振り返る。

 「本来は鉄道橋なので、支間長に対して幅員が狭く、条件の合う場所はなかなか見つからなかった。たまたま架け替える予定だった旧霞橋の幅員が近く、支間長を半分に縮めれば、トラスの形状など橋の魅力を損なわずに再生できると考えた」。

 霞橋の設計を担当したのはオリエンタルコンサルタンツ。「応力的に問題がなく、腐食が少ない部材を組み合わせて、支間長を半分の約30mに縮めた。できるだけ元の橋の形を継承するために、縦断面の形状は江ケ崎跨線橋と同じにした」。同社関東支店国土整備事業部門構造部の上野淳人次長は、こう説明する。

霞橋の支間長は31.4m。江ケ崎跨線橋の支間長62.8mを半分にした一方で、橋門部分の構造など元の橋の特徴を見せるため、縦断面の形状はそのままとした(写真:安川千秋)
霞橋の支間長は31.4m。江ケ崎跨線橋の支間長62.8mを半分にした一方で、橋門部分の構造など元の橋の特徴を見せるため、縦断面の形状はそのままとした(写真:安川千秋)

 新生した霞橋で目を引くのが、橋門上部にある「対傾構」と呼ばれる部材のひし形状のデザインだ。元々は構造部材として機能していた箇所だが、再生に際してはその役割は期待せず、部材も取り換えて意匠だけを継承した。特徴的な格点部の構造やくさびも、できるだけ残した。

 市は設計者に、施工監理支援業務も併せて発注。設計の意図が施工者に的確に伝わる体制を整えることで、歴史的な橋の再生活用という珍しいプロジェクトを成功させた。