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 清水建設は地下水の浄化処理設備にヒートポンプを併設し、浄化する地下水の熱エネルギーを冷暖房に利用できるシステムを開発した。揚水井戸と浄化処理設備、ヒートポンプをつなぐ配管のバルブの開閉パターンを夏と冬で変えて、夏は熱エネルギーの利用で浄化の効率を向上させ、冬は熱エネルギーの利用で浄化の効率が下がるのを防ぐ地下水の流れをつくった。

 かつて土壌浄化の方法で最も一般的だったのは、土壌の掘削と除去による浄化だった。この方法が汚染を拡散させる恐れがあるとみた国は、2010年に施行した改正土壌汚染対策法で、土壌を浄化する事業者に都道府県が浄化方法を指示できる規定を新設。土壌の掘削と除去を抑制する方針を打ち出した。

 清水建設はこの法改正の結果として、土壌を動かさずに地下水を揚水し、揮発性有機化合物(VOC)を除去する浄化方法の需要が増えると見込む。システムの活用で省エネルギーという付加価値が得られる浄化処理業務を、土壌汚染対策で地下水を浄化する必要がある企業に提案していく。具体的には、工場の建物で冷暖房コストを抑えながら、敷地で土壌を浄化したいメーカーなどを顧客として想定している。

工場などの土地と建物での利用を想定


 地下水は年間を通じて水温の変化が少ない。気温との対比で夏は冷たく、冬は温かい。清水建設のシステムは夏に地下水をくみ上げると、まずヒートポンプに送り、空調用の空気の冷却に利用。その後、空気にさらすばっ気処理によってVOCを除去し、浄化する。

 空調用の空気を冷却することで水温が5~7℃上がり、VOCの揮発を促進するため、除去効率の向上が見込める。冬は地下水で空調用の空気を温める。ただし、空気を温めて冷たくなった地下水はVOCの揮発が抑えられ、ばっ気処理の効率が落ちる。そこで、VOCを除去してからヒートポンプに流すようにした。

ヒートポンプを併設した地下水の浄化処理システムの概念図(資料:清水建設)
ヒートポンプを併設した地下水の浄化処理システムの概念図(資料:清水建設)

 このシステムを採用した同社の技術提案事例によると、ヒートポンプの使用で地下水の浄化処理のイニシャルコストは、国の補助金の利用を計算に入れても約1割上昇した。半面、1日の揚水量が337tの現場では、事業者は同じ敷地内の建物で使用する冷温水による空調設備で、年間に2万2106kWhの消費電力量を削減できる見込みとなった。その結果、イニシャルコストの上昇は、省エネによる約5年分のランニングコストの削減で相殺できる。さらに、ヒートポンプを併設しない浄化処理設備に比べて、夏季のVOC除去効率が10%向上するという試算結果も得られた。