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長寿命化修繕計画の制定率は半分程度

 先述したように、長さ2m以上の道路橋は全国で約70万橋。そのうち、2m以上15m未満の橋は54万橋にも上る。数は多く老朽化が進んでいるものの、対策は遅れ気味だ。「長さ15m未満の橋となると点検すら実施していないケースが珍しくない」とNPO法人(特定非営利活動法人)社会基盤ライフサイクルマネジメント研究会(SLIM Japan)の有岡正樹理事長は指摘する。

 長さ15m以上の橋を対象とした調査結果は、国交省をはじめ多くの自治体が公表している。他方、数が圧倒的に多い小規模な橋の実態を調べたケースは少ない。「このままでは取り残されかねないと考え、15m未満の橋に絞って調査した」と有岡理事長は説明する。

 NPO法人の日本PFI・PPP協会とSLIM Japanが15m未満の道路橋を対象に実施した調査からも、小規模な橋ほど老朽化対策が進んでいない実態が改めて明らかになった(調査概要は末尾を参照)。

 例えば橋梁台帳の作成は、長さ15m未満の橋でも77%が終えている。しかし、現地の調査や点検となると15m以上の橋ではほぼ100%が点検を実施したのに対し、15m未満では56%にとどまっている。さらに、点検・評価書の作成を完了した割合は42%に減る。

 長寿命化修繕計画の作成や制定も進んでいない。長さ15m以上の橋の場合、都道府県と市区町村を合わせた自治体全体の13年4月時点の制定率は87%。1年間で18ポイント増加した。なかでも市区町村の伸びが著しく、前年同月から28ポイント増の79%が計画を制定している。これに対し、15m未満で終えているのは44%と半分程度の割合だ。

●現地調査や点検の実施状況
(注) 橋長15m未満の「未点検」には、着手したが完了していないものも含む。下のグラフも自治体が管理する橋が対象。橋長15m以上の値は13年4月時点のもので、国交省の「道路橋の長寿命化に関する取り組み状況について」を基に作成した。橋長15m未満のグラフは日本PFI・PPP協会とSLIM Japanの調査結果。回答率は32%
(注) 橋長15m未満の「未点検」には、着手したが完了していないものも含む。下のグラフも自治体が管理する橋が対象。橋長15m以上の値は13年4月時点のもので、国交省の「道路橋の長寿命化に関する取り組み状況について」を基に作成した。橋長15m未満のグラフは日本PFI・PPP協会とSLIM Japanの調査結果。回答率は32%

●長寿命化修繕計画の制定率の比較
(注)橋長15m未満の「未制定」には作成中のものも含む
(注)橋長15m未満の「未制定」には作成中のものも含む

 次回はこれらの実態を踏まえ、規模が小さい橋を維持管理していくうえで、委託する組織や事業の方法などに対する自治体の考えを取り上げる。県や市の実例も交えて、対処法について考えてみよう。

【調査概要】
 長さ15m未満の橋を対象に、NPO法人の日本PFI・PPP協会と社会基盤ライフサイクルマネジメント研究会(SLIM Japan)が共同で調査。47都道府県を含めた896の自治体にアンケートを送り、2013年6月から7月にかけて調査・分析した。有効回答数は290自治体、回答率は32.4%。