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未知の坑道に先進ボーリング

 北上山地で評価が高かったのは、トンネル内の湧水を自然排水できる点など。電子と陽電子が衝突する加速器の中心付近を、河川よりも高い位置に構築することができる。衝突点から両側に伸びるトンネルに対して0.05%程度の傾斜を設けることで、トンネル内の湧水を衝突地点に集めて自然排水できるからだ。

 一方、脊振山地で想定するルートは海岸付近で一部、トンネルが海抜以下になるので自然排水は望めない。特に、運用時における長期の停電や大量の湧水が発生した場合に備えて、冠水対策を講じる必要があると指摘した。

 さらに、脊振山地のルートの一部はダム湖の下や近傍を通過するので、ダムの保全とトンネルの施工や運用の点から認可手続きに困難が予測されると懸念。認可されたとしても、止水対策などで大きくなコスト増が見込まれるとみている。

 北上山地でもコストの増加要因を指摘されている。同山地のルートには河川と交差する場所があり、同所の川底からトンネルの上端までの距離は約20m。土かぶりが小さく、止水対策を施せばコストが増加する。トンネルの土被りを大きく取ってもアクセストンネルが長くなるので、コストの増加は避けられないという。

地下に築くトンネルのイメージ(資料:Rey.Hori/KEK)
地下に築くトンネルのイメージ(資料:Rey.Hori/KEK)

 鉱山の坑道に対する指摘もあった。北上山地のルート上に鉱山の坑道の記録はなかったものの、記録に残っていない坑道の存在は排除できない。トンネルの掘削には先進ボーリングなどで調査することも必要だと指摘した。ただし、自然排水が可能な場所なので、先進ボーリングなどは建設時に役立つ可能性がある。