川をせき止める堰のわきをすり抜けて、小さなせせらぎが流れている。ヨシノボリやウナギといった底生魚や稚魚が、堰を横目にせせらぎをそ上していく。ここは埼玉県川本町の荒川に、2003年5月に改築された「六堰頭首工（ろくぜきとうしゅこう）」。頭首工と呼ぶ堰本体を農林水産省が改築したのと同時に、国土交通省が「緩こう配魚道」と「流水改善水路」を併設した。六堰頭首工は、流域の水田などで使う農業用水を、最大で毎秒17m3取る。1939年に造られた旧頭首工は老朽化していたうえ、固定堰だったため二つの問題を抱えていた。一つは、魚のそ上の問題だ。堰が川の上下を分断していたので、その後に階段式魚道を設置したものの、遊泳力の弱い底生魚や稚魚のそ上は難しかった。
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