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管理人のイエイリです。


コンクリートを打設した後は、表面が乾燥しないようにしっかりと養生し、また水和熱が出すぎないように

温度管理や配合に気を付け、できるだけひび割れが生じないようにする、というのが常識です。


ところが先日、東京・品川で開催されたフォーラムエイト主催の「第2回 FORUM8デザインコンファランス」で

発表されたのは、
 
 
 
ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、
 
 
 
ひび割れのあるコンクリは強い
 
 
 
という、コンクリート施工における常識をひっくり返すような衝撃的な実験結果でした。


特別講演「劣化した既設RC/PC構造物の非線形解析と維持管理」の中で、東京大学工学部社会基盤

工学専攻の前川宏一教授が発表したものです。


コンクリート梁に、水和熱による収縮で梁軸直角方向のひび割れを発生させ、荷重をかけると、

ひび割れがある方の梁の方が耐力が大きかったというものです。


特別講演を行う東京大学工学部社会基盤工学専攻の前川宏一教授


左下のグラフでひび割れがない梁(赤い線)よりもひび割れがある梁(青線)の方が耐力が高くなっていることがわかる


9月19日、東京・品川で開催されたフォーラムエイト主催の「第2回 FORUM8デザインコンファランス」

梁軸に垂直なひび割れに対し、斜めのひび割れが入ると、お互いが干渉しあってひび割れ幅が縮小したり、

途中でひび割れが止まったりする効果があり、こうした結果になるそうです。


コンクリートの表面からの水や空気の浸入を防ぐことができると、ひび割れをコンクリートの耐久性や

耐力の向上に役立てるという、新しい発想も生まれてきそうですね。


新しく建物や土木構造物の場合、強度を確かめる構造計算では自重や地震荷重などを受け持つ「構造部材」

と、そうでない「非構造部材」とを区別して「もつ、もたない」を判定するのが一般です。


それは構造物の強度を安全側に見積もったり、構造部材を単純な梁や骨組みに置き換えることにより、

シンプルに計算することにも役立っています。


ところが、実際の構造物自身はそんな区別はせず、
 
 
 
極めて自然な物理法則
 
 
 
に基づいた挙動するので、非構造部材にもある程度は構造物を支え、

いざというときにはその耐力が崩壊を防いだりすることもあります。


こうした解析を行うには、シンプルな2次元的解析では十分に挙動が把握できず、構造物を3次元モデルで

表現して、実物同様のシミュレーションを行うことが求められることも必要でしょう。


社会インフラのストックが充実し、維持管理がメーンになってくると、シンプルなモデルによる“建前の力学”

から、非構造部材も含む構造物全体を考慮した“本音の力学”がますます求められてそうですね。