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40~50代の土木技術者のなかには、今の仕事を選んだきっかけとなったのは、

1968年公開の映画、「黒部の太陽」を見たことという人が結構、おられますね。


石原裕次郎さん、三船敏郎さんという2大スターが土木技術者に扮し、黒部ダム建設

において最難関といわれた大町トンネル工事で、もろい岩盤と大量の出水に立ち向かいながら、

トンネルを貫通させるまでの苦闘をドラマチックに描いたものです。


この映画は石原裕次郎さんにとっても、特別に思い入れのある作品であり、ぜひ大スクリーン

で見てほしいという意向で、これまでビデオ化やDVD化はされていませんでした。


そのため、



幻の映画



とまで、言われています。


先日、この幻の映画を見られるめったにないチャンスがありました。ある土木関連団体が、

会員限定で「黒部の太陽」の特別上映会を行ったものです。1800人収容の会場は超満員。


土木映画の名作を、土木関係者ばかりで見るという、非常に珍しい企画だったわけですね。


先日、都内某所で行われた土木関係者限定の「黒部の太陽」上映会


1800人収容の会場で上映を待つ人々。1~2割は女性客で、まさに“老若男女”がこの映画を見に集まりました

私はこの映画を見るのは初めてでしたが、50年ほど前の工事現場は、使われる建設機械

や爆薬、資材などは違うにせよ、基本的に現在の現場と大きな変わりはないように見えました。


40年前の石原裕次郎さんのシリアスな演技と、大出水や山鳴り、切り羽の崩落など、緊迫感

あふれるシーンに、観客も真剣にスクリーンを見つめていました。


そんな映画でも、一カ所だけ、大爆笑が起こったシーンがあったのです。

それは、トンネルがついに貫通し、坑内で貫通式典が行われた場面でした。


ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、



たる酒をヘルメットにくんで



作業員の間を次々とリレーするというシーンだったのです。


ヘルメットをたるの中にドブンとつけて、たる酒をくむという豪快なシーンをおかしく感じたのは、

土木関係者ならではの共通感覚だったのではないでしょうか。


土木映画の名作では、青函トンネル工事の苦難を高倉健さん主演で描いた1982年の「海峡」

という作品があります。トンネル工事を描いたところが「黒部の太陽」と共通していますね。


閉ざされた坑内での出水や崩落などの危機は、潜水艦映画にも似た緊迫感を呼び起こします。

「潜水艦映画に駄作なし」というように、「トンネル映画に駄作なし」なのかもしれません。