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維持管理業務へのBIM活用の可能性を探る
JFMAが米国にFM調査団を派遣


建物のライフサイクルコストのうち、建物が完成するまでの初期建設費は2~3割に過ぎず、残りの7~8割は完成後の運用段階で発生するコストと言われています。初期建設費に比べて大きな比重を占める運用段階のコスト削減を図るため、BAS(ビルディング・オートメーション・システム)やBEMS(ビルディング・エネルギー・マネジメント・システム)が導入され、空調設備や照明設備などの効率的な運転が実現されてきました。

これらに加えて、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用し、設計段階から建物の性能を作り込むことによって、さらに運用段階のコストやCO2排出量など削減を追求しようという試みが、日本でも始まりつつあります。

施設管理の専門家が集まる日本ファシリティマネジメント推進協会(JFMA=ジャフマ)では、2008年10月14日~24日の間、「グリーンビルとBIM」をテーマにFM調査団を組織し、十数社の23人からなるメンバーが米国の官公庁や建築設計事務所、商業施設などを11日間の行程で視察してきました。

訪問先は、発注者としてBIMに関する基準や互換性などを定め、普及の原動力となったGSA(米国連邦調達庁)や、「LEED」という建物の環境性能評価を行うUSGBC(米国グリーンビル協会)、BIMを使って先進的な業務を行っている建築設計事務所のSOMなどです。

JFMAの2008年度米国FM調査団。ワシントンDCにて(以下の写真、画像:特記以外はJFMA)

●JFMAの2008年度米国FM調査団の行程表 (資料:JFMA)
 
日付
都市
訪問先
1
10月14日(火)
東京
成田発
ダラス
ダラス着
2
10月15日(水)
ダラス
フォートワース視察
WWP 2008(基調講演・展示会) 
3
10月16日(木)
ダラス
WWP 2008(セミナー・展示会)
ワシントンDC
ダラス発、ワシントンDC着
4
10月17日(金)
ワシントンDC
訪問 1) GSA 2) USGBC 3) Pentagon 
5
10月18日(土)
ワシントンDC
ワシントンDC視察
ニューヨーク
ワシントンDC発、ニューヨーク着
6
10月19日(日)
ニューヨーク
ニューヨーク市街視察
7
10月20日(月)
ニューヨーク
訪問 1) Bronx Library 2) SOM
8
10月21日(火)
ニューヨーク
訪問 1) 7WTC
シカゴ
ニューヨーク発、シカゴ着
9
10月22日(水)
シカゴ
訪問 1) Merchandise Mart 2) CTA
10
10月23日(木)
シカゴ
シカゴ発
11
10月24日(金)
東京
成田着


調査団長を務めたNTTファシリティーズ取締役FM事業本部長の米川清水さんは「米国でBIMの活用がここまで進んでいるのかと、その可能性や可視化の力に驚きました。建物のオーナー側と、建設する側の両方の戦略について見てくることができました」と語ります。

調査団に加わったNTTファシリティーズの塚田敏彦さんは「今回の調査は時機を得たテーマ設定で、非常に有益なものでした。建築設計事務所ではBIMのモデルデータをサーバーで共有し、出来上がったモデルデータを施工会社に渡すことも行われていました。またGSAでは2008年10月までに約70件の建物を3次元スキャナーで測量したということです」と、米国の建築ワークフローの変化を目の当たりに見た驚きを隠せない様子でした。

調査団の通訳として参加した東京大学生産技術研究所 藤森研究室の安田結子さんは「GSAでは、100年以上前の歴史的建築物に3次元スキャナーで測量し、3次元モデルを作っていました。日本の建物修復工事にも参考になりそうです」と、感想を話しています。

3Dレーザースキャナーで測定したニュー・ベルン裁判所建物の点群データ(以下、4点の画像:GSA, Optira)
点群データから建物の3次元形状を再現
3Dスキャナーで測定した点群データから、建物の内部も含めてBIMモデル化し、建物の改修計画に生かされた