12月3日から4日まで、東京・建築会館で建築学会情報システム技術委員会主催の「第32回情報・システム・利用・技術シンポジウム」が開催されました。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)や、建物のデザインをある規則に従ってコンピューターで自動生成させる「アルゴリズミックデザイン」、人間や生物が永続的に生存できる地球環境をモデル化した「生命環境モデル」など、最新の建築分野のテーマが「てんこ盛り」でした。
このイベントで私に与えられたミッションは、朝9時半から夕方までのシンポジウムや研究集会をすべて聴講した上で、締めに行う「情報シンポ版イエイリ建設ITラボ」というシンポジウムの司会を務めるという責任重大なものでした。
そのため、カナダ・サイモンフレイザー大学のRob Woodbury教授や米国・ハーバード大学のKostas Terzidis准教授も交えたオープンニングシンポジウムのほか、「生命環境モデルとGISの可能性」、「BIM活用の現状と課題」、「アルゴリズミックデザインとものづくり教育をつなぐ」と題した研究集会を
ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、
合計10時間も聴講
してきたのです。
さすがに、これから建築分野でブレークしそうな技術をテーマにした講演だけに、見るもの、聴くもの、すべてが刺激的だったと言っても過言ではありません。
例えば、東京大学の清水英範教授は、江戸時代の東京の街並みをリアルにモデル化し、安藤広重や葛飾北斎の江戸絵図の“脚色”について考察を述べました。
米国ハーバード大学から来日したKostas Terzidis准教授は、建物内部の部屋割り案などをコンピューターで高速発生させながら課題を解決する手法を披露。また、アラップ・ジャパンの城所竜太氏は、アルゴリズミックデザインで発生させた曲面的な屋根や骨組みを実際に製作する過程までをリアルに紹介しました。
そして、最後に臨んだ「情報シンポ版イエイリ建設ITラボ」では各研究集会を代表して、日本大学の大内宏友教授、大成建設の猪里孝司氏、豊橋技術科学大学の松島史朗准教授と、生命環境モデルやBIM、アルゴリズミックデザインをいかに現実の建築に生かすかという「マーケティング戦略」について議論しました。
「生命環境モデルを一般の人にひと言で簡単に説明してください」など、民主党の事業仕分けの答弁のような“無理難題”の数々を、ぶっつけ本番で皆さんに浴びせかけてしまいました。登壇された皆さんには、ハードな時間だったと思います。どうもスイマセン。
かく言う司会の私も「アルゴリズミックデザイン」と言うときに、何回もかんでしまいました。これがスラスラと言えるようになるまで、今後も勉強に励みたいと思います。
多くの参加者を集めた「BIM活用の現状と課題」
研究集会のなかでも「BIM活用の現状と課題」は多くの参加者を集めました。登壇した前田建設工業の綱川隆司氏はなんともユニークな方法で、自社のオフィスを紹介、いや“案内”したのです。