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今回の建設IT注目情報 ~鹿島「W-DECKER」~

 2004年の新潟県中越地震では、震源から遠く離れた東京でも高層ビルが揺れ、エレベーターが損傷するという被害がありました。その原因は周期が2~20秒といった「長周期地震動」によるものでした。

 振動実験でこうした長周期の揺れを再現しようとしても、既存の振動台では変位が小さいという問題がありました。

 そこで鹿島は長周期の振動も再現できる新方式の高性能3次元振動台「W-DECKER(ダブルデッカー)」を、鹿島技術研究所西調布実験場(東京都調布市)に導入し、1月に本格運用を開始しました。

 ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、
 
最大変位が±2.7m
 
もあるのです。

 この大きな変位は、振動台を2重構造にすることにより実現しました。振幅が±0.7mの「主振動台」の上に、同±2.0mの「長周期振動台」を載せ、同時に動かせるようになっているのです。

 世界最大の振動台とされる防災科学技術研究所の兵庫耐震工学研究センターにある「E-ディフェンス」でも、水平2方向に±1m、垂直方向に±0.5mの変位です。

 またNTTファシリティーズが2010年に開発した「大型3次元振動試験システム」は、E-ディフェンスの変位を上回る±1.1m の変位を再現できます。

 これらに比べても、いかに今回の振動台の振幅が大きいかが分かりますね。

 「W-DECKER」という名前は、2重構造をイメージしたものだったのですね。この振動台のために地震波形を「W」という形になぞらえたかっこいいロゴマークも作られました。

5m×7mの主振動台(写真上)。主振動台の上に長周期振動台を載せたところ(同中)。振動台のロゴマークも作られた(同下)(写真、資料:鹿島)

 主振動台は5m×7mの大きさで、水平、上下方向にそれぞれ2gの加速度を発生し、60tの搭載質量を持っています。大きな力で構造物をぐいぐい揺さぶる実験に適した性能です。

 一方、長周期振動台は2m×2mの大きさで加速度は0.5g(水平方向)と小さいですが、変位が±2.0mと大きくなっています。こちらは加速度は小さいけど、大きな振幅で揺らす実験に向いています。

 二つの振動台を重ねると両者の特徴を組み合わせて発揮するため、長周期地震動を含め、最近、日本で観測された大振幅の地震記録をほとんど再現できます。

W-DECKERの主な性能と仕様(資料:鹿島)

  60tもの試験体を上下左右に2gもの加速度で揺さぶると、その振動は周囲の民家などにも伝わってしまいそうです。それを防ぐために、特別な構造が採用されています。