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今回の建設IT注目情報 ~ダッソー・システムズ「プラント・ライフサイクル・マネージメント最新情報セミナー」~

 建築、土木の設計、施工にはBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)や3次元CAD、3Dレーザースキャナーなど、3D技術が普及しつつあります。一方、原子力発電所や石油精製プラントなどの建設や運用、維持管理を行うプラントエンジニアリングの分野は、製造業に近いため、3D技術の活用がかなり進んでいます。

 1月21日、東京・大手町で開催された「プラント・ライフサイクル・マネージメント最新情報セミナー」(主催:ダッソー・システムズ)では、プラント業界における3次元技術の最新活用事例が発表されました。その中から、建築、土木分野でも使えそうな技術を紹介しましょう。

 製造業向けの3次元設計・計測システムを展開するアルゴグラフィックス ソリューション事業部の高村一さんは、3次元レーザースキャナーで計測したプラント内部の「点群データ」の活用事例について発表しました。

 まずは、プラント内部のレイアウト変更事例です。既存のプラント内部で計測した点群データをいろいろな機器ごとに分割し、
 
ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、
 
点群のまま再配置
 
して、プラントの改修計画を行ったというのです。

 建築、土木の分野では、点群データはいったん、3次元CAD用のモデルデータに変換してから設計に使うことがこれまでの常識でした。ここ1~2年で大量の点群を扱える3次元ソフトも増えたため、点群データを現況の地形や街並みの3D形状として利用する例はありました。

 しかし、“3次元点群部品”のように切り出し、そのまま再配置などの検討に使う発想は新鮮ですね。建築、土木での応用としては、曳(ひ)き家による建物の移動や歴史的構造物の移設などでの使用が考えられます。既存の構造物の点群データをそのまま部品化して使うことで、CAD用のモデルに直す手間がなくなり、設計業務が省力化できそうです。

点群データのまま機器の再配置計画を検討した例(資料:アルゴグラフィックス)

 既存のプラント内部を計測した点群データの中で、フォークリフトの3Dモデルを動かし、機器と接触したプラントの点群に色をつけて表示させる干渉チェックも便利そうです。フォークリフトを入れて作業するために、どこを撤去すればいいかが、3次元ですぐチェックできますね。

 また、プラント設備は外形や寸法が規格化された配管類が多く使われているため、点群データから配管の外径や曲がり管の曲率半径などの仕様を割り出し、規格値に基づく3Dモデルへの変換も比較的簡単です。そこで、今年の夏には点群から3次元CADのモデルデータに自動変換するソフトも登場する予定だそうです。

 このほか、工場でプラント機器を製作中の作業員を3Dモデル化し、機器の中での作業性や姿勢、体の各部分にかかる負担などを検討するシステムについての紹介もありました。

プラント内部の点群データとフォークリフトの4D干渉チェック(上段)。点群データから自動的に3Dモデルを作成するソフト(中段)。作業員の作業性を3Dモデルで検討した例(下段右)。講演するアルゴグラフィックスの高村一さん(下段左)(資料:アルゴグラフィックス、写真:家入龍太)

 建築、土木分野ではこれから建物や公共インフラなどの維持管理が増えてきますが、ここで参考になりそうなのが原子力発電所の維持管理手法です。

 日本アイ・ビー・エム 公益サービス事業部の宇治原里志さんが講演の中で紹介したのは、米国の原発管理で使われている「構成管理(Configuration Management)」という手法です。(Nuclear Information & Record Management Associationという団体が開発)

 目的とする設備の機能を実現するための「設計要求」と、設備の「実体」、そして実体を表す「設備情報」の3つが常に整合性がとれるように管理するものです。

 この「設備情報」こそ維持管理に使うBIMモデルと言い換えることもできますね。ウェブサイトで調べたところ、米国での構成管理に対する取り組みは、十数年の歴史があり、研究会も定期的に行われているようです。

講演する日本アイ・ビー・エムの宇治原里志さん(左)と構成管理の概念図(右)(資料:Nuclear Information & Record Management Associationの資料を基に作成、写真:家入龍太)

 セミナーの主催者であるダッソー・システムズは、自動車や航空機など製造業で普及している3次元CAD「CATIA」の発売元です。そのCATIAが、日本の建設業界でも本格的に使われるようになるかもしれません。