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今回の建設IT注目情報 ~竹中工務店「ストラディア プラス」~

 クラシック音楽ファンのブログを見ていると、「このホールは弦楽器の音がきれい」、「あのホールは打楽器の音がいい」など、有名ホールの音響についての記事をよく目にします。

 また掲示板では「ここのホールにオーケストラの演奏を聴きに行きますが、最も音がよく聞こえる座席位置を教えてください」といったマニアックなやり取りもあります。

 コンサートホールや劇場の音響効果は、建物が出来上がってみないと細かいところまで分からないものですが、竹中工務店は、建物の設計段階で完成後の音響を試聴できる新システム「ストラディア プラス」を開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、 コンピューターシミュレーションと、
 
建物の縮尺模型
 
を組み合わせることにより、完成後の音響を座席ごとに予測できるのです。

 新システムは、ホール内部の模型を作り、その中で超音波を発振することで、楽器の位置から各座席までの音の伝搬特性を調べます。そのデータを無響室で録音した楽器の音や役者の声と合成することで、複雑で繊細な音響効果を「可聴化」します。

 楽器から出た音は、ダイレクトに届く直接音のほか、ステージ後方や側面の壁、天井などからの反射音が入り乱れて座席に届きます。模型実験は実際の物理現象を忠実に再現するので微妙な内装形状の違いも再現できるのが強みですね。

新システム「ストラディア プラス」による可聴化のフロー(資料:竹中工務店)

 同社はこれまで、ホールなどの設計時に音響効果を数値計算で求め、「ストラディア」という室内音場シミュレーターで完成後の音響を確認していました。ただ無響室に32個のスピーカーを配置した専用の環境が必要で1人しか試聴できませんでした。

 新システムは通常のスピーカーで音の再現が可能で、10人くらいでも同時に試聴でき、座席ごとの音の違いも分かります。そのため、関係者間で音響についての合意形成が行いやすくなります。

 同社ではこのシステムをコンサートホールの設計やリニューアルに活用する方針です。基本設計段階では従来のストラディアでホールの形状や大まかな内装を検討し、実施設計ではストラディア プラスを使って細かく設計を詰めていくという、2段階の設計手法で精度の高い音響設計を目指します。

基本設計、実施設計における音響設計の流れ(資料:竹中工務店)

 このシステムが実現するためには、ある機器の開発も必要でした