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市民カメラマンが残した記録の有効活用を

 地震はごく短時間で収まるため、揺れている間の被害状況を動画で記録するのは非常に難しい。地震が起こった瞬間の動画といえば、これまではテレビ局でさえ社内やスタジオ、監視カメラの映像といった限定的な映像が多かった。

 一方、ここ十年ほどで、携帯電話やデジタルカメラなど、身近な機器で動画が簡単に撮影できるようになった。2011年3月末時点での携帯電話契約数は約1億2000万件にも上る(電気通信事業者協会調べ)。このうち、大半の携帯電話には動画撮影機能が付いているとみられる。YouTubeをはじめ、動画を手軽に公開できるウェブサイトも普及した。

 地震発生の瞬間、動画撮影機能付きの携帯電話などを持った数千万人の“市民カメラマン”がそれぞれの場所で、被害状況を動画や写真の撮影し、その動画を簡単にウェブで広く公開ができる時代になったのだ。

 今回、紹介した動画は、そのごく一部にすぎない。YouTubeなどの動画投稿サイトには、各地の市民が東日本大震災の瞬間をとらえた貴重な記録であふれている。地震防災の専門家はもちろん、一般市民や学校での防災教育に、津波や地震動、そして被害のプロセスの研究などにこれらの動画が活用できそうだ。

 撮影はしたものの、各自の手元に眠っている動画の公開を促す呼びかけも必要だろう。投稿・公開された動画を活用する側にとっては、アクセスできる動画の数は多ければ多いほどよい。検索の手間は多少増えるかもしれないが、より多くの重要な資料に出会える可能性が高まるからだ。

家入龍太(いえいり・りょうた)
1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。 家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/ツイッターやfacebookでも発言している。