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省エネ設計、プレハブ化へBIM活用が広がった

 建物の省エネ化を図る上で、自然光や風を有効に活用することが大切だ。既にBIMモデルと夏冬における太陽の軌跡データを組み合わせることにより、自然光を照明に活用することが行われている。また、建物のBIMモデルを熱流体解析(CFD)ソフトに読み込み、自然通風の解析を行い、それを設計に生かすことで施主が求めるエネルギー消費量の半分で済んだ事例も出てきた。

 マグロウヒル・コンストラクション社が実施した前述のBIMユーザー調査では、生まれつつあるBIMのビジネス的価値についても聞いている。1位は「BIMモデルを活用した現場外でのプレハブ化」だった。

 完全なプレハブ化を実現するためには、BIMによって意匠、構造、設備の干渉チェックを着工前に行い、構造部材や空調ダクト、配管などのルートや位置を確定させ、建設可能な設計に仕上げておく必要がある。

 例えばマサチューセッツ州ウォータータウンのJCカニストラロ(JC Cannistraro)社は、BIMモデルデータを基に設備部材のプレハブ製作を手がけている。BIMモデルデータから「スプールシート」と呼ばれるプレハブ用のデータを作成し、製造現場に送信。プラズマカッターや自動溶接機を使って配管部材を製作している。これらの部材は現場に運んで組み立てるだけで設置できる。

BIMモデルデータを基に設備部材のプレハブ製作を行うJCカニストラロ社の工場(上段)と製作した部材(下段)(資料:JC Cannistraro)

 ジョーンズ氏は、外装材やサッシを一体化してプレハブ製作した壁を、現場に搬入して組み立てるといった工法を採用している企業も紹介した。

外装材やサッシを一体化してプレハブ製作した壁を設置いている例(資料:McGraw-Hill Construction)