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設備のモジュール化による生産性向上

 BIMの普及により、設備の設計変更に伴うコストも激減している。JCカニストラロ社の調べでは、6年以上にわたり408件のプロジェクトについて設計変更の金額を調べたところ、従来の2次元図面による工事では18.42%もあった。BIMを導入して3次元設計に切り替えただけで設計変更は11.17%に減り、さらにBIMデータを活用して建設関係者と協働したところわずか2.68%まで減った。

BIM導入と協働により設備の設計変更は大幅に減少した(資料:JC Cannistraro)

 施工現場では、複数のダクトや配管、電線、消火用配管などをある単位でまとめてプレハブ製作した「設備モジュール」によって現場での施工を簡略化する動きもある。

 MMCコントラクターズ(MMC Contractors)社では、工場で製作したモジュールをトレーラーで建設現場に搬入。モジュラーごと設置位置に移動させて取り付ける工法を採用している。同社ではボイラーや空調機などの機械設備周辺の配管やバルブもまとまった単位でモジュール化し、施工現場での取り付け作業を効率化している。トイレなどは日本のユニットバスのような工法で、配管やダクトだけでなく照明や内装までも一体でモジュール化して、工場でプレハブ化している。


YouTubeで公開されているMMCコントラクターズ社の紹介ビデオ

 同社は現場での取り付け位置の決定(墨出し)には、BIMモデルのデータと連動したトータルステーションを活用している。その結果、墨出しのスピードが従来の5倍に高まったほか、精度も16分の1インチ(約1.6mm)以下に収まったという。

家入龍太(いえいり・りょうた)
1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。 家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/ツイッターやfacebookでも発言している。