5月11日、アメリカ建築家協会(AIA)全米大会で講演したマグロウヒル・コンストラクション社のシニア・ディレクター、ステファン・ジョーンズ氏は、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用業務が設計から施工へと広がり、さらに維持管理段階での活用へと進みつつあることを指摘した。
そしてBIMがVR(仮想現実感)やAR(拡張現実感)との連携により、縮尺や角度にとらわれない新しい表現方法への変革が起こっていることついてもふれた。
ステファン氏はBIMの活用が完成済みの建物や施設に対しても行われていることを紹介した。デスティニーUSA(Destiny USA)というショッピングモールの増築工事では、地中レーダーを使って既設埋設管の位置を割り出し、BIMモデル化したのがその一例だ。
BIMのモデルデータは施工現場にも持ち込まれている。その“可視化力”は、作業員に細部の構造や組み立て手順を3Dで分かりやすく説明することによる時間の節約や、施工ミスの防止に役だっている。また、空調ダクトや配管、電気などの設備工事会社間での段取りや工程調整などにも使われている。
体力が衰えて現場に行きにくい高齢のベテラン技術者でも、BIMモデルで施工手順を再現することにより、スクリーン上に映し出されるバーチャルな現場を見ながら、施工上の注意点や課題をアドバイスすることができる。
ステファン氏が紹介した施工現場でのBIM活用事例は、少子高齢化が進みつつある日本でも参考になりそうだと感じた。