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施工精度の検証に3Dレーザースキャナーを活用

 また、既設の建物を増築したり、設備を増設したりする際の設計業務には、3Dレーザースキャナーで計測した「点群」と呼ばれるデータが、BIMの設計情報として普及している。

 米国の大手建設会社、MAモーテンソン(MA Mortenson)社では既存の設備の形状を3Dレーザースキャナーで計測してBIMモデル化。それをテンプレートとしてBIMで設計することによりあらかじめ干渉を防ぎながら、既存設備の周辺に新しい設備を設計することができた。

3Dレーザースキャナーの点群データを基に作成した既存設備(グレーの部分)との干渉を避けるように新しい設備を設計(資料:MA Mortenson)

 3Dレーザースキャナーは、施工精度の検証にも使われている。米国や中東、インドに拠点を置く大手建設会社のガファリ・アソシエイツ社(Ghafari Associates)社は、コンクリート打設前の床上に配置された貫通部材、スリーブなどを3Dレーザースキャナーで測定し、設計との整合性や取り付けミスの発見に使用している。

 同社では北米において1400万平方フィート(約130万m2)を超える建物を3Dレーザースキャナーで計測し、500万平方フィート(約47万m2)以上の建物モデルを作成した実績がある。その活用分野は施設の改装や歴史的建造物の記録から、BIMによる設計・施工まで幅広い。

 点群の取り扱いにおける作業効率を高めるため、ガファリ社は3Dレーザースキャナーや点群処理用のソフトを自社で保有し、社員自らが活用している。

コンクリート打設前の床上に配置された貫通部材やスリーブを3Dレーザースキャナーで計測(資料:Ghafari)

設計時に作成したBIMモデルと施工後に計測した点群データを比較し、取り付け位置のずれを検証した例(資料:Ghafari)

 竣工時の建物や設備の状態をそのまま記録したBIMモデルデータは、建物の運用段階でのファシリティ・マネジメント(FM)でも使われ始めた。