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 東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故などで、今年の夏は電力不足への対応が企業や家庭の課題になっている。

 5月13日に政府・電力需給緊急対策本部が発表した「夏期の電力需給対策」によると、東京電力の電力供給力見通しが5380万kWなのに対し、ピーク時の電力需要は6000万kWと予測。東京・東北電力管内全域で、企業や家庭を含むすべての電力需要家に対して15%の電力需要抑制目標を設定して節電を促した。

一般的なビルに比べてCO2排出量を60%削減

 東京都江東区にある清水建設技術研究所はこの夏、業務量を減らさず、しかもオフィスの空調や照明の快適性をできるだけ損なわずにこの目標を大幅に上回る省エネに挑戦する。「契約電力比で今夏の電力ピークを37%削減することを目標に掲げ、研究所を挙げての行動を開始した」と、同研究所の石川裕所長は語る。

 今回の省エネの手法について、清水建設技術研究所地球環境技術センターの沼田茂生センター所長は「夜間に鉛蓄電池に充電しておき、昼間の電力ピーク時には太陽光発電の電力とともに蓄電池から放電する。こうして電力使用を平準化することで、ピーク電力を大幅に削減できる」と説明する。

 2003年に完成した本館は、通常のビルに比べて40%のCO2削減を目指して設計されており、既にかなりの“省エネビル”といえる。高気密・高断熱仕様や屋上緑化の導入により太陽光や外気からの空調負荷を軽減しているほか、スラブ蓄熱や氷蓄熱による空調機を備えている。そして4階にある「スマートワークプレイス」と呼ばれる320m2の執務スペースには、ICタグに連動して自席周辺の照明や空調吹き出し口をオンオフするパーソナル空調・照明システムが備えられている。

清水建設技術研究所本館の「スマートワークプレイス」に備えられたパーソナル空調・照明システム用のICタグ(上左)と各席に設置した読み取り機(上右)。席に人がいないときは消灯している(下左)が、着席すると照明がつく(下右)。このほか、既に大幅な省エネ対策がなされていた(写真:家入龍太)

 今回のピーク電力削減は、これだけ省エネ対策が採られたオフィスで、さらに省エネを上積みしようという、“乾いたぞうきんを絞る”ような取り組みなのだ。その結果、本館は一般的なオフィスビルに比べて、CO2排出量を60%も削減できるようになるという。