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BIM共通フォーマット「IFC」の活用進む

 異なるソフトウエア間でBIMモデルのデータを交換するため、国際組織IAIによって開発が続いているデータ形式「IFC」。これまでソフトごとの“くせ”によって、データ交換時に情報が一部欠落するという問題がある。

 とはいえ、過去に開催された3回のBLTをはじめとするBIMの仮想コンペなどで問題点が明らかになり、各ソフトベンダーが改良に努めてきた。そうしたこともあり、IFCデータの交換精度はかなり高まったようだ。

 初回のBLT2009から毎回参加している前田建設工業を中心としたチーム「スカンクワークス」は、各ソフト間でIFCデータをスムーズに受け渡せるようにデータを調整するソフトを独自に開発し、過去のBLTで使っていた。

 「IFC形式の交換精度はかなり高まったと感じている。そこで今回のBLK2011では、各ソフトが書き出すIFCデータをそのまま使って、どれだけ実用に耐えるかを検証したい」と、綱川隆司氏は語る。

 意匠設計用のCADで作成したBIMモデルをIFC形式に書き出し、構造設計・設備設計用のCADにBIMモデルを引き継いで設計を詳細化する一方、PAL値や熱負荷の計算、熱流体解析の各プログラムの入力データとしても活用した。

スカンクワークスはソフト間でのBIMモデル交換にIFC形式をなるべく使うようにした(資料:スカンクワークス)

意匠設計用CADで作成したBIMモデルを輝度や熱量の分布解析に活用(資料:スカンクワークス)

意匠、構造、設備のBIMモデルを合体させたもの。建物の外観は兵庫県の県鳥であるコウノトリの翼をモチーフにしている(資料:スカンクワークス)

 10年ほど前から3次元設計に取り組み、様々なBIMソフト間でIFC形式によるデータ交換を行ってきた前田建設工業は、IFC形式の特性を熟知している。そのため、これまでは独自開発のソフトを通して、IFCによるデータ交換精度を高めてきた。今回、同社のチームが「生」のIFC形式の活用に踏み切ったことは、各ソフトのIFCによるデータ交換精度が高まってきたことを意味するものだ。

 「スカンクワークス」以外では、昨年のBLT2010で最優秀賞を受賞した大林組も、BIMソフト間のデータ交換をIFC主体で行った。

大林組のチーム「ORANGE ARK」のソフト間のデータ連携フロー(資料:ORANGE ARK)

 IFCによるデータ交換精度の向上はBIMモデル内の様々な「属性情報」、つまり「BIMのI」の活用が今後、進んでいくことを意味するものと言えそうだ。