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「業界でのBIM普及のため、蓄積したノウハウを公開」

 安井建築設計事務所は、佐野吉彦代表取締役社長がリーダーシップを取り、2007年に全社でBIMを導入した。以来、組織的なBIM活用では最先端を走っている建築設計事務所の一社だ。

 BIMを組織的に活用するため、同社では「標準化」「手順・ルール化」「教育・研修」を三本柱として社内整備を進めてきた。「標準化」とはテンプレートやライブラリ、BIM標準仕様を社内で構築すること、「手順・ルール化」とはBIMモデルを作るためのガイドラインや社内製図基準を定めること、そして「教育・研修」は社員のBIMスキルを伸ばすための教育テキストや能力評価などである。

安井建築設計事務所がBIMの組織的活用のために実践する3つの柱(資料:安井建築設計事務所)

 このうち、「標準化」では、BIMの実務の中でテンプレートやライブラリを更新、洗練するとともに、入力した設計情報をほかのプロジェクトでも継承して設計効率を向上できることを目指した。そこでBIMプロジェクトのデータを集中的に管理、修正しながら仕様を統一してきた。

 その過程では、膨大なコストや時間がかかっているはずだ。有償とはいえ、自社の貴重なノウハウを公開することにした理由について、同社情報プレゼンテーション部長の中元三郎氏は、「BIMを導入した会社は、どこも同じようなことを並行してやっている。BIMモデルから基準に合った図面を作るというゴールは同じだ。こうして蓄積したノウハウを抱え込むよりも、公開して業界でのBIM普及に少しでも寄与したいとトップが決断した」と語った。

 今、BIMを導入した企業は二極化が進んでいると言われている。先進企業はかなりのノウハウを構築し、実務でも成果を上げている。そしてノウハウは外部に出さない。一方、新規に導入した企業は、先行者が開発したノウハウを得られず、なかなかBIM活用が進まない、といった構図だ。

 そんな状況の下、このテンプレート集は、数十万円の価格設定で販売される。一見、高価なようでもあるが、購入した企業は「2段抜きでBIM活用が進む」と中元氏が説明するように、それ以上の時間とコストを節約できる。有償とはいえ、一つの“社会貢献”とも言えそうだ。

BIMモデルから作成された立面図(資料:安井建築設計事務所)

BIMモデルから作成された仕上表と姿図は、常に図面と整合性が取れている(資料:安井建築設計事務所)

 今回の製品は、安井建築設計事務所がBIM活用の3本柱に掲げる「標準化」の部分を公開の対象にしたものであり、他社の利用者とも共有可能な部分と考えている。一方、「教育・研修」や「手順・ルール化」については、各社が独自で行うべきだと考えている。