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 香港・九龍駅を出発した中国本土への直通列車が、最初に停車する東莞(ドングアン)駅。この駅がある広東省東莞市の鉄工所では、コンピューター制御の工作機械がH形鋼やI形鋼を次々と切断し、別の機械は1枚の鋼板から何十枚もの補強部材を切り抜いている様子が見られた。合計約1000tにも上るこれらの部材は、日本でのプラントの建設に使うため、三菱重工業が発注したものだ。

中国・広東省東莞(ドングアン)市にある鉄工所で、コンピューター制御の工作機械によって生産される部材(写真:三菱重工業)
中国・広東省東莞(ドングアン)市にある鉄工所で、コンピューター制御の工作機械によって生産される部材(写真:三菱重工業)
中国・広東省東莞(ドングアン)市にある鉄工所で、コンピューター制御の工作機械によって生産される部材(写真:三菱重工業)

 設計は日本国内で行った。BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)対応の詳細構造設計ソフト「TeklaStructures」と、構造解析ソフト「STAAD Pro」を使い、継ぎ手の構造からボルト穴1個に至るまで、現場でそのまま架設できるほどの詳細なレベルまで設計を練り上げた。

 しかし、部材の製作図はほとんど描く必要がなかった。その代わりとなったのは、BIMのモデルデータだ。このプロジェクトに携わった三菱重工業原動機事業本部土木建築部の主席技師、大脇茂弘氏は「BIMモデルの通りに作ってくれと頼んだ」と言う。

 中国の鉄工所は、BIMモデルを図面代わりに受け取り、それを基に工作機械用の加工データや工場用の加工図を作成し、鋼材の切断を行った。

「STAAD Pro」による構造解析(資料:三菱重工業)
「TeklaStructures」で作成した詳細構造モデル(資料:三菱重工業)
「STAAD Pro」による構造解析(左)と「TeklaStructures」で作成した詳細構造モデル(右)(資料:三菱重工業)

海上コンテナによる多頻度少量輸送

 部材は海上輸送コンテナで日本へ輸送する。工場内の別のエリアでは、溶接加工や塗装が行われ、完成した部材を梱包(こんぽう)してコンテナに積み込む。すき間には、手すりなどの細かい部材をぎっしりと詰め込み、コンテナ内部のスペースを有効に利用している。

海上輸送コンテナによる輸送。すき間には細かい部材をぎっしり詰め込む(写真:三菱重工業)
海上輸送コンテナによる輸送。すき間には細かい部材をぎっしり詰め込む(写真:三菱重工業)

 コンテナを使うメリットは数多い。日本と中国の間にはコンテナ船が毎日のように運航されており、輸送費が安く、積み卸しも素早く行える。港に到着した後は、現場での架設まで、しばらく部材を保管する倉庫代わりとしても使える。

 「多頻度少量の輸送を行えるので、部材の仮置き場のスペースも節約できる。現場での施工タイミングと、部材製作や輸送のスケジュールを合わせることで、建設業でも“ジャスト・イン・タイム”が実現できる」と大脇氏は言う。