設計事務所、工務店はビジネスチャンスを生かせるか
スマートハウスの設計・施工には、建築だけでなく、給湯・電気・通信など幅広い設備の知識が求められる。両者の設計ノウハウを最適に組み合わせることにより、さらにスマートハウスの性能を高められるだろう。
大手や中堅の住宅メーカーは、電機メーカーや家電量販店、自動車メーカーなどと戦略的に連携することにより、スマートハウスとしての新製品を続々と投入している。
中小の建築設計事務所や工務店は、スマートハウスという新しいビジネスチャンスをどう生かすことができるだろうか。
まず、求められるのは住宅の省エネ化のほか、太陽光発電や自家発電と給湯を同時に行うコジェネーション、家庭用蓄電池など、空調電気設備についての知識やノウハウを獲得することだ。さらにはエネルギー消費量やCO2排出量を数値によって具体的に試算する「定量化」の手法を使いこなすことも必要だろう。
これまでの住宅とスマートハウスが根本的に異なるのは、あるコストのなかで建築基準法などの“最低性能”をクリアすることを目指した設計から、いかに“最高性能”を目指すかという設計に変わって来たことだ。
それを実現するためには、設計ツールも3次元で正確に日照量や外熱負荷を計算できるBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトや、それに対応したエネルギー解析ソフト、設備設計ソフトなどを活用することも検討するべきではないだろうか。
そして、意匠設計段階から空調・電気設備会社とコラボレーションすることにより、建築と設備の性能が最適に組み合わせされた設計が行える体制も必要だろう。

家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/。ツイッターやfacebookでも発言している。