BIMパーツ転用で設計の効率化を目指す

 この物流倉庫の特徴は、入庫用、出庫用のらせん型のランプを2カ所備え、トラックが直接、各階までアクセスできることだ。面積も従来型の倉庫に比べて広いため、荷物をエレベーターで移動させる必要がなく、その階だけで積み替えができる。そのため、従来の倉庫に比べて荷役の作業能率は2~3割上がるという。

 数十トンもあるトラックやフォークリフトが倉庫内を走るため、建物の床や各部分には大きな衝撃荷重がかかる。長期間にわたって運用するためには、頑丈な構造が命となる。そのため同社では倉庫の構造部分の設計と工事監理は自社の責任で行い、その後、意匠と設備の設計・施工を外部の建設会社に発注するという独自の方法をとっている。

 「物流倉庫の特徴は、工費のうち躯体部分が6割を占めることだ。そのため構造部分をコストダウンが鍵となる」と石嶋部長は説明する。

GLプロパティーズ建設技術部長の石嶋健司氏(写真:家入龍太)
GLプロパティーズ建設技術部長の石嶋健司氏(写真:家入龍太)

 同社では物流倉庫の標準的な構造として免震構造とPC構造の組み合わせを採用しているが、コストダウンと大きな関係がある。「免震構造にすることで建物に作用する地震力が2割程度に減る。その分、柱や梁などの躯体断面を20%程度、減らせることになる。免震構造は自社独自のものを開発し、特許を取得した」(石嶋部長)という。

 また、物流倉庫として効率的な10m×12mのスパン割りを「モジュール化」することで、PC部材の標準化を図っている

 さらに、倉庫ユーザーが快適に働けるようにと、施設内にカフェテリアを設ける。そして、米国の建物環境性能評価制度「LEED」の「GOLD」ランクの取得も目指している。

 2011年7月に行った工事の見積もり依頼に先立ち、BIMマネージャーのプロパティ・リスク・ソリューションでは、構造部材や免震装置などの「ファミリ」と呼ばれるRevit用のBIMパーツを作成した。中でもランプは内側に向かって傾斜している上、らせん形状になっているので苦労したが、オーストラリアの企業の力を借りてファミリを作成した。

複雑ならせん形ランプのBIMパーツも作成(写真:家入龍太)
複雑ならせん形ランプのBIMパーツも作成(写真:家入龍太)

 「これらのBIMパーツは、設計や施工図作成の手間を減らし、見積もりや数量拾いの省力化、そして施設運用時の効率化につながる。そのためBIMの活用はコストダウンにつながる。三郷の後、第2、第3のプロジェクトでもBIMパーツを転用し、さらに設計の効率化とコストダウンを図りたい」と石嶋部長は言う。