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フランス・ボルドーのシステム会社、BMIA社は道路トンネル内での火災事故などをバーチャルリアリティー(VR)システムで再現するトンネルシミュレーターを開発した。トンネル管理者が信号や電光掲示板などを使ってトンネル内の車両や人を安全に誘導したり、消防車など緊急車両の出動を要請したりする訓練を行うものだ。その心臓部となるVRシステムには日本製のものが使われている。


 道路トンネルでの衝突事故や火災は、場合によっては大惨事につながる恐れがある。例えば、1999年にフランスのモンブラントンネルで起こったトラックの火災事故では、39人もの死者を出した。その原因は、トンネル管理者の指示や避難誘導が不適切だったためと言えわれている。

 そこで、フランス・ボルドーに本社を置くBMIA社は、フォーラムエイトのVRシステム「UC-win/Road」と、独自開発のトンネルシミュレーターなどを連携させてトンネル管理者用のトレーニングシステム「G'VAL Training System」(以下、G’VALシステム)を開発した。トンネル内で事故が発生したとき、トンネル管理者が的確な状況判断を下し、迅速な行動をとるように訓練し、事故の犠牲者を減らすことが目的だ。

「G'VAL Training System」のデモンストレーションに使う6面スクリーン。3台のパソコンの接続されている。(写真:家入龍太)
トンネル管理者のオフィスの例(写真:BMIA社)
「G'VAL Training System」のデモンストレーションに使う6面スクリーン。3台のパソコンの接続されている(左)。トンネル管理者のオフィスの例(右)(写真左:家入龍太、写真右:BMIA社)

フランス・ボルドーにあるBMIA社のオフィス(写真:家入龍太)
フィリップ・マッソー氏(写真:家入龍太)
フランス・ボルドーにあるBMIA社のオフィス(左)とフィリップ・マッソー氏(写真:家入龍太)

VRで事故現場をリアルに再現

 人命にかかわる訓練を行うG’VALシステムの機能は、飛行機のパイロットを訓練するフライトシミュレーターに匹敵するほど、リアルで本格的だ。

 「訓練生」となるトンネル管理者の前には、トンネル内のあらゆる部分に設置されたテレビカメラのモニター画面や、トンネル内のカメラ位置、換気ファンや電光掲示板などの動作状況を表示する「SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)」と呼ばれるコンピューター監視・整序システムの画面、そして様々な警報装置からのアラームを表示する画面などが配置される。

 これらの画面はG’VALシステムで実物のトンネル管理システムと同様のデータや映像を再現し、訓練生の目の前に時々刻々と表示するようになっている。

トンネルの統括制御システム(SCADA)の画面(左)と、火災警報などの状況を知らせる画面(右)(資料:BMIA社)
トンネルの統括制御システム(SCADA)の画面(左)と、火災警報などの状況を知らせる画面(右)(資料:BMIA社)

UC-win/Roadの機能を使ってVRで表示されたトンネル各部分の監視カメラ映像(資料:BMIA社)
UC-win/Roadの機能を使ってVRで表示されたトンネル各部分の監視カメラ映像(資料:BMIA社)

 そして、「教官」となる訓練担当者は、訓練のための“問題”を作り、訓練生に出題する。その問題となるのが事故の「シナリオ」で、様々な気象や時間帯、交通量、速度などの条件を設定したうえ、どこでどんな火災や衝突が起こったかという事故内容を組み合わせたものだ。シナリオとして再現できるものは速度の遅いクルマや故障車、事故や煙の発生、荷物やタイヤなどの障害物、救助隊や作業員、パトロールカー、警察などの到着、トンネル内を歩き回る動物などがある。

教官用の画面。様々なシナリオによって事故や火災などを発生させ、訓練生の行動の記録や評価が行える(資料:BMIA社)
教官用の画面。様々なシナリオによって事故や火災などを発生させ、訓練生の行動の記録や評価が行える(資料:BMIA社)