世界初のシステムに国際トンネルアワードも

 VRを用いたトンネル管理者の訓練システムは、世界でも初めて開発されたものだ。最初のバージョンは、2011年10月末に発売され、EGISロード・オペレーション社(EGIS Road Operation)が第1号のユーザーとなった。同社はオーストラリアやポルトガル、イスラエル、カナダ、コスタリカなど世界18カ国で道路の運用管理業務を展開している。

 このシステム開発を通じてBMIA社とフォーラムエイトは、2011年の国際トンネルアワード(2011 NCE International Tunnelling Awards)で、トンネル分野での安全、健康、福利に貢献する最先端の技術に対して贈られる「セーフティ・イニシアチブ・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。

授賞式での BMIA社 フィリップ・マルソー氏(右)とフォーラムエイトの松田克己氏(左)(写真:フォーラムエイト)
授賞式での BMIA社 フィリップ・マルソー氏(右)とフォーラムエイトの松田克己氏(左)(写真:フォーラムエイト)

 審査員は、「このシミュレーターはトンネル分野の大きな進歩であり、トンネルの安全のために多くの分野で利用できる」とコメントした。

 G’VALシステムは、機能を拡張することで道路トンネル以外にも鉄道トンネルや、都心部の道路交通など、幅広い分野での施設運用トレーニングに活用できる。BMIA社では緊急事態が発生した場所に空輸できるように、小型パソコンと組み立て式スクリーンを使った可搬式のシステムも開発中だ。

 例えば、都心部の交通管理者は、交通渋滞を緩和させるための信号制御や車線規制などの訓練、鉄道の運行指令管理者は事故発生時の復旧や臨時ダイヤの編成訓練などに使える。そのため、交通渋滞などの問題に悩む米国などからも、引き合いが来ているという。

 実際にはめったに起こらない大きな事故をトンネル管理者が事前に体験し、様々なシナリオを想定した訓練を積み重ねることにより、トンネル管理者は緊急時にもプレッシャーに負けず、沈着冷静な行動をとれるようになるだろう。同様なことは、地震や津波、洪水時などの非常時における防災担当者や施設管理者などにも言える。緊急事態を再現するVRシステムを開発し、訓練に使用することにより救える命もあるのだ。

家入龍太(いえいり・りょうた)
1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/ツイッターやfacebookでも発言している。