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竹中工務店が東京都江東区で施工したオフィスビルの設備工事で、空調、衛生、電気の設備工事を担当する14社は、同じ3次元CADを使ってコラボレーションを行った。各社の設計者が1室に集まり、サーバーで設備のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルを共有しながら設計を進めた結果、設備同士の干渉を設計段階で解決しながら設備の工場製作を推進した結果、短工期での施工に成功した。


 2011年11月に竣工した、とあるオフィスビル。東京都江東区に建つこのビルは、地上12階、地下1階建ての免震構造で、建物の平面は約110m角。延べ床面積は約10万m2に上る。このビルの工事で、建設業界では異例ともいえるBIMによるコラボレーションが行われた。

 ビルの工期はわずか25カ月で設備工事に充てられる時間は10カ月しかなかった。しかも、空調5社、衛生3社、電気6社、そして昇降機2社という計14社の専門会社が設備工事を担当する。

 そのため、設備同士や設備と躯体が施工時に干渉し、工事に手戻りが発生しては、とても工期に間に合わなくなる。

 短工期で多数の会社が担当する設備工事をスムーズに行うため、元請け会社の竹中工務店は、「迅速な情報共有」、「前倒し検討(フロントローディング)」、「問題の共有化」が課題になると考えた。そこで、現場事務所内に設備工事用のLAN敷設し、空調、衛生、電気の設備工事を担当する14社が、BIMによるコラボレーションをするという、これまでにない仕組みを作ったのだ。

設備工事の施工体制(資料:竹中工務店)
設備工事の施工体制(資料:竹中工務店)

3次元CADとITネットワークによる設備工事の情報共有(資料:竹中工務店)
3次元CADとITネットワークによる設備工事の情報共有(資料:竹中工務店)

設備用3次元CADソフトを統一

 設計で使用する3次元CADソフトは、シスプロの「DesignDraft」を竹中工務店と昇降機以外の設備工事に携わる14社すべてが統一して導入した。3次元CADの活用に対しては、設備会社ごとに温度差があったが、竹中工務店は各社の営業や技術担当者に必要性を説得し、工事契約前に契約条件の一つとして各社でのCADソフトの導入を明文化した。CADソフト自体を各社が統一して協働することは、建設業界では異例だといえる。

 DesignDraftを初めて使う設計者のために、シスプロでCADの講習会を計19回開催し、合計57人が参加した。「講習は1日だけで、ネットワークで設備サーバー上のデータにアクセスする機能など、ごく初歩的な部分だけだった。その後は実際のプロジェクトを通じてトレーニングすることでうまくいった」とシスプロの山田麻起子氏は説明する。

設備用3次元CAD「DesignDraft」のトレーニング(写真:竹中工務店)
設備用3次元CAD「DesignDraft」のトレーニング(写真:竹中工務店)

 現場事務所には、設備会社の設計データを共有する設備サーバーを、竹中工務店のサーバーとは別に設けたほか、各社の設備設計者が一堂に集まる部屋も用意した。各社から5~6人現場に派遣された設計者は、設備設計のデータを設備サーバー上で共有しながらここで設計を進めていった。設備サーバーでファイルを共有するために、保存場所やファイル名の付け方などを決めた運用マニュアルを作成。ファイルの誤編集やファイル名変更によるリンク切れ、散在などを防止した。

 各社の設計者が一つの部屋に集まって設計作業を進めたことのメリットは、設備同士が干渉してしまった場合に、次の会議を待つことなく、その都度、干渉した設備の当事者同士が話し合いを行って解決していけることだった。

 鉄骨や建築仕上げの3次元モデルも設備サーバー上で共有することで、躯体を避けながら設備を設計した結果、躯体側との干渉も最小限で済んだ。

設備サーバーへのアクセス権の概念図(写真:竹中工務店)
設備サーバーへのアクセス権の概念図(写真:竹中工務店)