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2009年に設備工事のBIMによるコラボを計画

 従来のように、設備の種類ごとに別々に設計・施工し、現場合わせで対応していると、設備工事の手戻りは30%に達することも珍しくないという。この工事では事前に干渉の問題を解決していたため、手戻りはほとんどなかった。また、今回のような床面積が10万m2クラスの建物になると、竣工前の1カ月間は、設備会社は人をとにかく多く現場に投入し、人海戦術でやっと終わらせることが普通だった。

 その点、このビルの工事では当初から工期が厳しかったにもかかわらず、計画通りに進み、突貫状態になることはなかった。

機械室の3次元モデル(左)と完成した設備の前に立つ三戸英明氏(資料:竹中工務店、写真:家入龍太)
機械室の3次元モデル(左)と完成した設備の前に立つ三戸英明氏(資料:竹中工務店、写真:家入龍太)

 驚くべきは、設備工事の14社で使用するCADソフトを統一し、コラボレーションすることを計画した時期が2年前の2009年だったことだ。「日本のBIM元年」と言われた2009年の段階では、まだBIMの活用は意匠設計が中心だった。設備工事の施工段階でBIMが使われていたことは特筆すべきことだ。

 民間工事は企業秘密なども多く、情報が表に出にくいが、現在はさらに進んだBIM活用が、国内外のプロジェクトにおいて水面下で着々と進んでいることをうかがわせる。

家入龍太(いえいり・りょうた)
1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/ツイッターやfacebookでも発言している。