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NEXCO西日本は米国の橋梁点検市場に参入

 米国では社会インフラの劣化が深刻な問題になっている。2007年8月、ミネソタ州ミネアポリスの高速道路でミシシッピ川にかかる橋梁が突然崩壊した事故は、記憶に新しい。

 2011年1月、NEXCO西日本は米国ワシントンDCに子会社「NEXCO-West USA, Inc.」を設立し、米国での橋梁点検や健全度評価の事業を開始した。フロリダやテキサス、カリフォルニア州を重点に事業展開している。

「NEXCO-West USA, Inc.」が入居するビル(左)とオフィス内の様子(右)(写真:NEXCO西日本)
「NEXCO-West USA, Inc.」が入居するビル(左)とオフィス内の様子(右)(写真:NEXCO西日本)

 その武器は、赤外線カメラとハイビジョンカメラを用いた解析技術だ。

 赤外線カメラでは、構造物表面の温度分布をとらえて内部の空洞や浮き、はく離などを検出する。こうして詳細点検のポイントを絞ることで、打音検査の省力化を図る。

 一方、ハイビジョンカメラは3台使い、橋梁下面の状態を撮影し、画像処理技術で展開図を作成する。展開図からひび割れを検出し、ひび割れ幅ごとにランク分けして表示する。この技術によって目視点検を省力化できる。

ハイビジョンカメラによる橋梁下面の撮影イメージ(左)とフロリダ州セブンマイル橋での撮影風景(右)(資料、写真:NEXCO西日本)
ハイビジョンカメラによる橋梁下面の撮影イメージ(左)とフロリダ州セブンマイル橋での撮影風景(右)(資料、写真:NEXCO西日本)

赤外線カメラによる空洞や浮きの検出過程(資料、写真:NEXCO西日本)
赤外線カメラによる空洞や浮きの検出過程(資料、写真:NEXCO西日本)

作成した橋梁下面の展開図とひび割れ(資料:NEXCO西日本)
作成した橋梁下面の展開図とひび割れ(資料:NEXCO西日本)

 NEXCO西日本がワシントンDCに子会社を開設したきっかけは、フロリダ州セブンマイル橋で行ったデモンストレーションだった。同州政府から高い評価を得たことなどから、道路関係機関や他州でもデモンストレーションを実施し、企業からも問い合わせを受けた。こうした経緯から、米国での橋梁点検業務を受注できると判断した。2012年1月現在、点検業務の受注には至っていないものの、営業活動を行った米国内の道路管理者などからの手応えを感じているという。

 日本の構造物の点検や維持管理技術は、海外からも高く評価されるレベルにあると言えそうだ。また、販売ハイビジョンカメラや赤外線カメラ、クラウドコンピューティングシステムなどのITを駆使することにより、現場作業と技術的な判定作業を別々の場所で行えるようになってきた。これは、海外の構造物を日本にいながら点検できることを意味する。

 構造物の維持管理コストが増えていくのは、日本も海外も同じだ。日本の点検技術やノウハウをITによって製品化し、海外市場に展開することも、建設業の新しい成長戦略の一環になりそうだ。

家入龍太(いえいり・りょうた)
1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/ツイッターやfacebookでも発言している。