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ビルオーナー、ESCO事業者、施工者のすべてが満足

 BIMモデルによって協議や設計承認を行いながら計画した工事は、11月1日にいよいよ現場での作業が始まった。
前日まで空調に使っていたボイラーなどの余熱が冷めるまでに3日間ほどかかり、その間は解体に着手できないという思わぬハプニングもあった。しかし、既存設備を撤去した後は新しい設備を搬入・設置していくだけだ。3交代による24時間態勢の作業はスムーズに行われ、無事に予定通りの施工が完了した。

 「初めは誰もが不可能と思った工事だった。それがBIMによる綿密な計画と部材の工場製作を徹底することで、作業手戻りや現場合わせをなくし、20日間で現場の作業を終えることができた。紙図面ではなくBIMでやりたいという我々の提案を温かく受け止めてくれた日中友好会館やJFSの理解があってのことだ」と谷内氏は語る。

 日本ファシリティ・ソリューション技術本部品質・安全管理部主幹技師の加藤直樹氏は「3次元のCGで見ることで紙の図面では分かりにくい干渉も簡単にチェックでき、仮設計画もしっかりしていることが確認できて安全性の確保にも役立った」と語る。

改修工事が完了した機械室。機器を支える基礎も既存のものを再利用した(左)。機械室のBIMモデル(右)(写真:家入龍太、資料:新菱冷熱工業)
改修工事が完了した機械室。機器を支える基礎も既存のものを再利用した(左)。機械室のBIMモデル(右)(写真:家入龍太、資料:新菱冷熱工業)

 今回の工事で、新菱冷熱工業がBIMを駆使し、無事に工期通りに完成させることができたのは、工事の設計・施工に、ビルオーナーや工事の発注者が参加することで積極的な協力が得られたことが大きい。BIMによって工事内容を視覚的に表現することで、設備工事の専門家でなくても内容がよく理解できたからだ。

 設計承認は紙の図面で行うのが今でも正式な方法だ。しかし、一般のオーナーは、紙の図面を見ても設計内容がよく理解できないことも多い。そして、十分理解できていないままに承認してしまい、イメージと違ったものができてしまったりすることも建設プロジェクトではしばしばある。BIMモデルを使って実質的な設計承認を取り付けながら、工事を進めていった今回の事例は、工事関係者すべてが事前に工事の内容を理解できるようにすることが、顧客満足度を高める結果につながることを実証したものと言えそうだ。

改修工事が終わった機械室に集まった工事関係者(写真:家入龍太)
改修工事が終わった機械室に集まった工事関係者(写真:家入龍太)

日中友好会館の熱源改修工事をビデオで公開

新菱冷熱工業は、今回の工事を「日中友好会館熱源改修工事」という2分35秒の動画にまとめ、動画投稿サイト「YouTube」で2月15日に公開した。既存の設備を完全に3次元モデル化して施工計画を作成し、3週間ほどの設備停止期間内で完成させるまでの工事の全容がまとめられている。

タイトル
動画「日中友好会館熱源改修工事」のワンシーン(資料:新菱冷熱工業)

(動画のURLはこちら http://www.youtube.com/watch?v=GTT2BVLzG38)

<訂正> リード文で「日中友好協会の事務局」とありましたが誤りでした。「日中友好会館の事務局」に訂正します。(2012年2月16日12時35分)