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新菱冷熱工業は昨年入社した社員44人を対象に、延べ3カ月にわたるBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の集中講座を行っている。過去に同社が設計・施工した熱源機械室などを課題として、4人ずつに分かれたグループが本番さながらに設計を進めていく。そのかたわらでは、講師を務める11人のベテラン技術者が図面を真っ赤に添削する。将来、BIMによる設計・施工のワークフローを変革し、生産性を高めるのがその狙いだ。


 会議室にずらりとならんだ液晶モニターには、複雑に入り組んだ機械室の配管図面やCGパースが映し出される。3カ所にあるパソコン連動の大型スクリーン前には、4人ずつに分かれたグループが陣取り、設計の調整作業を行っている。今年3月、東京・四谷にある設備工事の大手、新菱冷熱工業の施工図教育センターでは、昨年入社した44人の新入社員を対象としたBIM教育が3カ月目に入っていた。

 施工図教育センターは、同社が開発したBIM対応の設備設計用3次元CAD「S-CAD」の活用を推進する施工図推進センターが主導し、自社ビルのワンフロアに作った教育施設だ。講師は施工図推進センターのメンバーと、首都圏事業本部のベテラン技術社員の計11人が務めている。

新菱冷熱工業の本社に設けられた施工図教育センターでBIM教員を受ける新入社員(写真:家入龍太)
新菱冷熱工業の本社に設けられた施工図教育センターでBIM教員を受ける新入社員(写真:家入龍太)

実戦さながらのコラボレーション設計を体験

 この日の課題は、ビルの熱源機械室の設備設計だ。「P&ID」とよばれる装置や管路、バルブの接続関係だけを表した図を基に、S-CADを使いながら、実際のビル躯体の中に様々な機器や配管などを配置していく。

 課題となったビルは、過去に新菱冷熱工業が設計・施工した物件で、その規模は8階建て、床面積2万6000m2。実際の業務でも3~4人の技術者が1カ月ほどかかる設計業務だった。BIM教育でもこの課題を3月の1カ月間で仕上げていく。設計には、機器を搬入するための段取りや動線も考慮する必要がある。

大型モニターで設計の検討を行うグループ(写真:家入龍太)
大型モニターで設計の検討を行うグループ(写真:家入龍太)
大型モニターで設計の検討を行うグループ(写真:家入龍太)

 各グループの新入社員はワイワイガヤガヤと議論を交わしながら、楽しそうに課題に取り組んでいる。しかし、その表情は真剣だ。「この課題は中級レベル。教育とはいえ、条件は実務とほとんど同じだ4人がコミュニケーションを図りながら、一つのプロジェクトを仕上げていくスタイルなので、座学による研修より技術の吸収が早く、効率的だ」と、BIM教育を担当する新菱冷熱工業施工図教育センターのセンター長、当田利信氏は語る。

 例えば、4人のうち3人が機械室内の冷凍機やボイラーなどの設備を分担して設計し、もう1人が屋上のクーリングタワー周りの設計を担当する、といった具合に設計が進む。S-CADの設計データを、ネットワークを介してチームメンバーと共有しながらコラボレーション作業だ。

同じチームのメンバーとコミュニケーションを取りながら課題に挑む(左)。実際に施工した現場の写真も参考に(右)(写真:家入龍太)
同じチームのメンバーとコミュニケーションを取りながら課題に挑む(左)。実際に施工した現場の写真も参考に(右)(写真:家入龍太)
同じチームのメンバーとコミュニケーションを取りながら課題に挑む(左)。実際に施工した現場の写真も参考に(右)(写真:家入龍太)