5万円台で買える3Dプリンターキットも登場
3次元CADやBIMソフトで作った建物などの3次元モデルデータを基に、立体の模型を作る「3Dプリンター」は2~3年前までは安いものでも200万円程度するのが常識だった。ところが今年2月、なんと、税込みで5万6800円という激安の3Dプリンターキットが発売されたのだ。
静岡県富士宮市のエイジアネットが発売した「Lunavast Prusa 3Dプリンターキット」というもので、溶けたABS樹脂などを模型の断面に沿って0.3mmの高さに積み上げながら立体を造形していく方式のものだ。縦横200mm、高さ100mmまでの模型を作れる。加工に使用するデータは、最近のBIMソフトでも採用されている「STL形式」だ。
キットには組み立てに必要なプラスチックパーツやステンレスロッド、ステッピングモーターや電源などの部品一式がそろっている。動作に必要な制御ソフトや、組み立てマニュアルなどは同社サイトからダウンロードできるほか、組み立て作業を撮影した動画も見られる。まさに「DIY」愛好家のための3Dプリンターなのだ。
このキットが低価格を実現できたのは、「RepRapプロジェクト」というオープンソースの3Dプリンターをベースに作られているためだ(関連記事)。3Dプリンターのプラスチック部品も、RepRapのプリンターで作っている。まさに「親機が子機を作る」というように、3Dプリンターが増殖していく仕組みだ。
エイジアネットは「RepRap Prusa Mendel」という機種をベースに、Z軸やエレクトロニクス系の若干の改良を施して市販キット化した。同社の大月健司氏は「これまで20台ほど販売実績がある。販売先の内訳は企業が40%、学校関係が20%、一般の人が40%といったところだ。建築・土木関係のユーザーにも、今後販売を伸ばしていきたい」と語る。