写真から3Dモデルを作るクラウドも登場
3Dプリンターでものづくりをするとき、面倒なのが既存の建物や地形のモデル化だ。建物の図面や地形図、3Dレーザースキャナーで計測した点群データなどを基に3Dモデルを作るのは、熟練と手間がかかる。
近い将来、その手間を大幅に減らしてくれそうな無料のクラウドサービスが登場した。オートデスクのベータ版として無料公開している「123D Catch」というソフトをダウンロードしてパソコンにインストールしたうえで利用できる。
ユーザー側の作業と言えば、モデル化したい建物や模型などの周りを取り囲むように数十枚の連続写真を撮り、クラウド上のサーバーにアップロードするだけだ。すると数分で3Dモデルとなって返ってくる。その仕組みは、サーバー側で数十枚の写真から共通点を探し出し、その位置関係を解析することで3Dモデルにするというものだ。
この技術を使うと、人物や彫刻などの写真から3Dモデルを作り、さらに3Dプリンターを使って“立体複製”が簡単にできる。
モデル化の対象は建物から彫刻、人物、地形など様々だ。ただし、透明なものや光沢のあるもの、窓や模様が単調な繰り返し配置になっている建物や物体は、システム側が共通点を誤認するためしばしばエラーになる。筆者もマンションや公園の遊具、壁面などの写真で試してみたが、“成功率”は4割くらいだった。
米国オートデスクの従業員、ゴンザロ・マルチネス氏(Gonzalo Martinez)は、この技術のデモを動画投稿サイト「YouTube」で公開している。「MikroKopter Cinestar 8 at Autodesk HQ and 123D Catch」という動画がそれだ。8ローター付きの無人ヘリコプターにカメラを取り付け、カリフォルニア州サンラファエルにある本社ビルを上空からぐるりと撮影し、それを3Dモデル化した様子を紹介したものだ。
写真から3Dモデルを作る技術と、小型の無人ヘリコプターが組み合わされば、将来、既存の街並みは全自動で3Dモデル化できるようになりそうだ。
複数のローターが付いたヘリコプターはとても安定性がよく、GPSで飛行ルートを指定して自律飛行させることができる。こうしたシステムを建設業に導入することで、BIMや3次元CADによる設計や維持管理業務などは将来、大幅に省力化できそうだ。

家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/。ツイッターやfacebookでも発言している。