「就労ビザ取得」のタイムリミット

 本格的にRevitに取り組み始めてから現在まで、まだ半年足らずだが、前述のように大学の課題をこなすための道具として使い始めるなど、急速にBIMの世界に親しみつつある。サンフランシスコの大手設計事務所であるゲンスラー建築事務所(Gensler)のインターンシップ(就業体験)にも申し込んだところだ。返事はまだ来ていない。

 「米国の大手建築設計事務所に就職するためには、BIMや3次元CADを使えることは必須です。インターンシップに応募しているほかの学生の作品を見ると、3Dソフトを使ったハイレベルな作品が多いです。私も頑張らないといけません」と思保美さんは気を引き締める。

BIMを武器として米国での就職に挑む思保美さん。時間があればホテルのロビーなどでもBIMの課題に取り組む(写真:家入龍太)
日本にいる母とはよく電話で連絡を取り合う。“BIMの先輩”としてアドバイスを受けることも(写真:家入龍太)

BIMを武器として米国での就職に挑む思保美さん。時間があればホテルのロビーなどでもBIMの課題に取り組む(左)。日本にいる母とはよく電話で連絡を取り合う。“BIMの先輩”としてアドバイスを受けることも(右)(写真:家入龍太)

 思保美さんは来年5月に卒業の予定だが、卒業後3カ月以内に就職先を見つける必要がある。米国で専門職として働くために必要な「H-1ビザ」の取得期限が、大学卒業の3カ月後までしかないからだ。このタイムリミットまでに米国企業に就職してビザを取得しなければ、日本への帰国を迫られることになる。卒業後、限られた期間に就職先を決め、ビザを取得しなければいけないというハンデを背負いながら、米国人と競争していかなければならない。

 母の美砂子さんは「今度、思保美が帰国したときは、Revitで仕上表などを作る方法や、BIMソフト同士を連携させて高品質なCGを作るといった使い方などを教えようと思います。こうした使い方は米国でもまだ珍しく、米国での就職活動にもきっと役立つと思うからです」と、自分と同じくBIMを切り札にしてインテリアデザイナーを目指す娘を、“BIMの先輩”として応援している。

家入龍太(いえいり・りょうた)
1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/ツイッターやfacebookでも発言している。