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社会インフラが老朽化し、巨大地震災害のリスクが高まる一方、日本の財政事情は年々厳しくなり、少子高齢化も進んでいく――こうした課題が山積する中、日本の公共土木事業には、計画から設計、施工、維持管理にわたる建設生産システムを改革し、生産性を高めることが求められている。その切り札として「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」の活用が浮上した。1990年代から実施された「CALS/EC」の成功と失敗を踏まえ、国土交通省の幹部がその構想を語った。

 これからの公共土木事業は難問だらけだ。公共投資の源泉となる日本の財政事情は年々厳しくなり、建設業を支える人材も高齢化が進んでいく。その一方で、東日本大震災の復旧・復興事業や東海・東南海・南海地震による巨大津波への対策、老朽化しつつある社会インフラの改修、地球環境問題への対応などを行っていかなければならない。

 こうした状況下で、公共土木事業の生産性向上が、これまで以上に強く求められている。その切り札として浮上したのが「土木のBIM」だった。

国交省技監が「土木のBIM」導入を訴える。

 4月13日、東京・麹町で開催された日本建設情報総合センター(JACIC)主催のセミナー、「CALSの15年を振り返り、新たなステージへ~建設生産システムのイノベーションに向けて~」の会場は、約250人の参加者でぎっしりと埋まった。

 壇上に立った国土交通省技監の佐藤直良氏は「CIMのススメ~建設生産システムのイノベーションに向けて」と題する基調講演の中でこう訴えた。

 「15年前に取り組みが始まったCALS/ECの狙いもBIMと同じだった。しかし、土木事業の生産システムは、設計と施工の間でブツ切りになっている。そろそろ、土木分野でもBIMの発想を発展させて、建築と土木を一体として生産性向上を図っていくべきだ」

佐藤氏は、建築分野で導入されたBIMの効果や、新宿労働総合庁舎や海上保安庁海洋情報部庁舎などでのBIM導入事例を紹介し、「BIMで一番大切な役割を果たしているのは、各部材の仕様などを表した『属性情報』だ。これによって建築は飛躍的に生産性向上が図られた」と強調した。

 ただし、建築のBIMにも未整備な点はある。佐藤氏は建築と土木のBIMを総称する言葉として「CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)」を提唱している。建築のBIMでも、システム上で素材を表す方法が建設会社や設計事務所の間で統一されていない現状を踏まえて、「建築と土木で共通する素材のライブラリーを作ってはどうか。国交省も建築と土木で使う言葉を同じにしよう。みんなの力でやらないとガラパゴスになってしまう」と、佐藤氏は提案する。

BIMの効果やCIMの導入について語る国土交通省技監の佐藤直良氏(写真:家入龍太)
BIMの効果やCIMの導入について語る国土交通省技監の佐藤直良氏(写真:家入龍太)
BIMの効果やCIMの導入について語る国土交通省技監の佐藤直良氏(写真:家入龍太)

国や地域、公共土木事業が直面する様々な問題を、CIMによって各要素技術や制度・施策を統合し、解決することを目指している(資料:佐藤直良氏)
国や地域、公共土木事業が直面する様々な問題を、CIMによって各要素技術や制度・施策を統合し、解決することを目指している(資料:佐藤直良氏)
国や地域、公共土木事業が直面する様々な問題を、CIMによって各要素技術や制度・施策を統合し、解決することを目指している(資料:佐藤直良氏)

会場は約250人の参加者で満員(写真:家入龍太)
会場は約250人の参加者で満員(写真:家入龍太)