Field Pad:iPhoneで図面を現場に持ち出す

 タイセイ総合研究所が今年4月に発売したiPhone、iPad用アプリ「Field Pad」は、紙の図面や書類を現場で持ち歩くことなく、iPhoneなどで様々な図面を参照できるようにするために開発されたものだ。大成建設がフェンリルに委託して開発した。アップルが運営する「App Store」を通じて1500円(税込み)で販売している。

iPadで見た図面の例(資料:大成建設)
iPadで見た図面の例(資料:大成建設)

 ファイル共有クラウドサービスの「Dropbox」(米国Dropbox社)に標準対応しているほか、オプションで現場の情報共有をするためのASPサービス「建設サイト」(三菱商事)とも連動する。大容量のPDFファイルやMicrosoft Officeのファイルを閲覧できるドキュメントビューワーを搭載しているため、クラウド上に様々な図面をPDF化して置いておくと、Field Pad経由で参照できる。

 画面上から図面などの必要個所に「ピン」を落とし、コメントや写真、音声、動画などをひも付けて記録できる。現場の機器が異常音を出していたり、異常な動作をしていたりした場合に音声や動画で記録するなどの使い方もできそうだ。また、文字で入力しにくい場所などでは、メモの代わりに自分の声で情報を吹き込んでいくこともできる。こうした機動力はiPhoneやiPadといった携帯情報端末ならではのものだ。

PDF化した図面上にピンを落とし、メモや写真などをひも付けして記録できる(資料:大成建設)
PDF化した図面上にピンを落とし、メモや写真などをひも付けして記録できる(資料:大成建設)
PDF化した図面上にピンを落とし、メモや写真などをひも付けして記録できる(資料:大成建設)

 このほか、入力情報や写真などを定型の記録書類として作成できるコクヨS&TのSaaS型クラウドサービス「伝票@Tovas for スマートフォン」の追加サービスもある。

 このサービスを利用することで、iPhoneなどに入力した写真やメモを基に、工事記録写真台帳や定型の報告書を自動作成することも可能だ。これまで、現場事務所に戻ってから行っていた帳票作成作業が、現場での写真撮影段階で完了するので、かなりの省力化につながりそうだ。

現場で入力したデータから帳票を自動作成することも可能だ(資料:大成建設)
現場で入力したデータから帳票を自動作成することも可能だ(資料:大成建設)

オフィスの外に出て現場の建物や構造物を相手に仕事をすることの多い建設業では、iPhoneやAndroid端末が持つ通信やカメラといった基本的な機能のほか、加速度や温度などのセンサー、マイク、動画撮影機能などを利用することで、様々な業務の効率化に役立つ。これからも現場最前線のIT化を実現するアプリやシステムの登場が期待できそうだ。

家入龍太(いえいり・りょうた)
1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/ツイッターやfacebookでも発言している。