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 現場に技術者が出向き、目視などでチェックして回るのが一般的だった構造物の維持管理作業。手間ひまやコストがかかる作業を効率化するため、ソナーやGPSを搭載した無人測量船や路線バスを使った橋梁の異常発見、パケット通信を使った監視カメラ、クラウドコンピューティングによる作業の分担など、ユニークな維持管理システムが続々と登場している。


自律走行無人ボート:GPSやソナーで深浅測量を自動化

 ダム湖や河川などの水深や水底の地形を測る「浅深測量」は、小型ボートを現場まで運んだり、ボートが使えない浅瀬では人が標尺を持って水中に立ったりと、大変な手間と労力が必要だ。この作業を合理化するため、愛知県刈谷市の測量会社、アペオ技研は今年3月に無人ボートを導入した。

  コデン(本社:東京都北区)が開発した「RC-S3」という自律走行無人ボートで、長さ1.2m、重さ16kgの船体にはGPS(全地球測位システム)や水深計測ソナーが搭載されている。一見、ラジコン愛好家向けのボートのようにも見えるが、れっきとした“ハイテク測量船”なのだ。

自律走行無人ボート「RC-S3」(写真:アペオ技研)
測量中の風景(写真:アペオ技研)

自律走行無人ボート「RC-S3」(左)。測量中の風景(右)(写真:アペオ技研)

計測した水深データを表示する現場用パソコン(写真:アペオ技研)
スクリューまわりのからみ防止対策(写真:アペオ技研)

計測した水深データを表示する現場用パソコン(左)と、スクリューまわりのからみ防止対策(右)(写真:アペオ技研)

計測した水深のデータ(写真:アペオ技研)
計測した水深のデータ(写真:アペオ技研)

 浅深測量する「水深計測線」や場所を自律走行システムにインプットすれば、高性能自律制御プログラムによって測線から0.5m以内の位置を保ちながら自動的に走行し、深さ80mまでを1cmの精度で測ることができる。

 動力は直流モーターで、電源にはリチウムイオン充電池を使う。最大速度は4.5ノット(約8.3km/時)で、210分間の連続走行が可能だ。導入費用はノートパソコン以外のすべてをセットにして定価800万円という。

 遠隔操作には無線LANを使っている。その電波は800mまで届くが、万一、途中で電波が届かなくなったり、バッテリーがなくなったりした場合には、電源を入れた地点まで自動的に戻ってくる「自動回帰」の機能も備えている。高価な無人ボートだけに、こうした機能があると安心して使えそうだ。

計測実験を行うアペオ技研のスタッフ(写真:アペオ技研)
計測実験を行うアペオ技研のスタッフ(写真:アペオ技研)

 アペオ技研は自律走行無人ボートで計測した結果を3Dモデル化して、土木用3次元CADソフト「AutoCAD Civil 3D」で扱えるようにすることを目指している。

 さらに、GPSが受信できない橋の下や暗きょ、水際の樹木が茂っているところなどでも測量できるようにするため、ボートに全周プリズムを取り付け、トータルステーションに自動追尾する手法も採用している。ボート側では水深データと測定した時間を記録し、トータルステーション側ではボートの位置と時間を記録。後で時間を手がかりにしてトータルステーションの位置情報と水深を結びつける仕組みだ。

自動追尾用の全周プリズム(写真:アペオ技研)
自動追尾用の全周プリズムを装着した船体(写真:アペオ技研)

自動追尾用の全周プリズム(左)を装着した船体(右)(写真:アペオ技研)