トンネル建設、既設橋の維持管理などにBIMを活用
例えば、ワシントン州シアトルでは、老朽化した高架橋を取り壊し、市街を貫く全長4マイル(約6.4km)のトンネルを新設する工事にBIMを活用している。建設ルートの地上や地下を3次元でモデル化し、地下に入り組んだ既設のトンネルやビルの基礎杭などを可視化し、設計・施工を行いやすくした。
BIMによる設計の可視化は合意形成にも役立った。既存の高架橋が大地震に見舞われたとき高架橋や地上を走る道路が破壊していく様子をシミュレーションし、動画で分かりやすく関係者に説明したのだ。
このほか、米国各地では道路の新設や橋の維持管理に、3次元モデルとGPS(全地球測位システム)を連動させた3Dマシンコントロールや3Dレーザースキャナーで計測した「点群データ」も活用されている。
ある町に架かる橋の維持管理では、いろいろな角度からスキャニングした点群データを基に、任意の断面で切断して老朽化の状態を確認したり、図面を作ったりしている。
3Dレーザースキャナーをクルマに積んで走行しながら計測する「モバイル・マッピング・システム」は、道路の路面形状の計測や周囲の電柱や電線、信号などをモデル化するのによく使われている。
報告書にはこのほか、米国各地の空港やダム、運河や下水道施設、そして公園やレクリエーション施設などの事例も掲載しているので参照してほしい。